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Close your Eyes ep.93-2



HP『Sweet Drops』用に書かれた作品になります。原文のまま転記したので長文になります、ご了承ください。











昨晩の汗をともにシャワーで流し合い、朝食を取るべくレストランへと向かう。トレイに好きなものだけを集めて席を探せば、隅に4人の姿を見つけた。

「おはよ~」

「…ジン兄さん、見えてます…っ」

明るい挨拶で1日を始める予定だったのに、真っ先に飛び込んできたのはうなじに刻まれた鬱血した痕。ユチョンはフォークを握り締めた手を震わせながら、唸るようにそう告げた。

「う…?」

なんのことだろうかとトレイを持ったまま自分の身体を見渡してみるが、特に何もない。ジェジュンを見遣ればどこか楽しげな笑みがあった。

「ジン兄さん、早く食べないと時間なくなっちゃいますよ?」

そう急かせばいままで抱えていた疑問などすでに遥か彼方。慌てて腰を下ろし、持ってきた料理を平らげていく。今日もまた、朝からすごい食欲だ。

1時間ほどかけて食事をし、ホテルに横付けされた車へと乗り込んでいく。一目見ようと駆けつけたファンに手を振り、彼らは今回のコンサート会場へと向かった。

前回よりもさらに広い会場。ステージもさらに豪華だ。大きなステージから観客席を見つめ、5人は胸が高鳴るのを感じた。

「ほえぇ~…」

そこに聞こえてきたのはなんとも間抜けな声。視線を下ろせばステージの下でカメラを携えたジンがぽかんとした表情で会場を見つめていた。

どうやらあまりの大きさに呆気に取られているようだ。しかし、それにしても気が抜ける。苦笑を滲ませた顔を見合わせ、リハーサルに取り掛かろうとスッタフを見遣る。

スピーカーから発せられる音に身体を震わせ、ようやく我を取り戻したジンは肩にかけていたカメラを持ち上げた。

色とりどりの照明が彩る会場や、真剣な顔でリハーサルに取り組むその姿。かと思えば、開場までまだ時間があるというのに詰め掛けるファンたちをカメラに収めていく。

ふと、その肩に触れるものがあった。首をかしげながら振り返ればそこには久しぶりに見る青年が佇んでいた。

「ユファン、久しぶり~」

「おう、久しぶりだぞ」

グッズ販売に長蛇の列を作るファンたちも収めた。あとは特に屋外で取るものはないだろうと、ジンはユファンの手を引き通用口を中へと進んだ。

今回はちょうど休みに重なったコンサート。いつもならば1公演くらいしか参加できないが、今回は初日から最終日まで観ることができる。

「楽しみだね~?」

「楽しみだぞ」

中を進んでいくにつれ大きくなる音。ステージが近いのだと、それだけでわかる。別に自分がステージに立つわけでもないのに、どうしてか緊張するように鼓動が早まる。

「ジン、いま行ったら邪魔じゃないか?ユチョンの迷惑にならないか?」

「大丈夫だよ~」

別段、ステージ上まで押しかけようとは思っていない。袖から見守るだけだ。落ち着かない様子で首から下がったバックステージパスを指先でいじるユファンにそっと微笑んだ。

緊張した面持ちでステージを覗き込めば、先ほどと同じく真剣な表情でリハーサルに取り組む姿。途中で中断してはスタッフと話し合い、最初からやり直す。

「ジェジュン君、カッコイ~…」

「ユチョンのがカッコイイぞ」

それぞれ視線はひとりにしか向けられていなかった。むっとしたようにジンはユファンを見つめる。

「ジェジュン君だもんっ」

「ユチョンだっ」

相容れないふたりの想い。子どものようにそんなやり取りをしていると、不意に訪れた静寂の中に二人の声が響き渡った。

ステージにいたふたりは突然聞こえてきた声に、聞こえた方向へ同時に振り返った。

「ジェジュン君っ」

「ユチョンっ」

顔は見えないがどうやら袖にいるらしい。リハーサルを中断して声のするほうへ歩み寄れば、瞳を潤ませながら何かを言い争うふたりの姿があった。

「ジン兄さん、どうしたんですか?」

「ユファン?」

胸の中へ飛び込んできたふたりをそれぞれ抱きしめ、いったい何があったのだろうかと顔を見合わせる。しかし、質問に答えをくれるだろうふたりはいがみ合い中だ。

しばし無言の攻防を繰り広げていたふたりは相容れないとわかったのか、同時にそっぽを向く。そしてぎゅっとその胸に顔を押し付けた。

「ジン兄さん…?」

さっぱり事情がわからない。ジェジュンとユチョンは顔を見合わせ、小さく首をかしげた。とりあえずとなだめるように背中を撫で、隅の方へと移動していく。

リハーサルは中断されたまま。だんだんとユノが不機嫌になっていくのを目の当たりにしながら、ふたりは苦笑を滲ませた。

どうしようかと視線で相談しあうも、どうにもならない。諦めたように肩をすくめ、気づかれないように小さく息をついた。

「ユファン、何があったの?」

「ジンが、ユチョンよりジェジュンのがカッコイイって…っ。そんなコトないぞ。絶対、ユチョンのがカッコイイぞ…っ」

「ジェジュン君のが、カッコイイもんっ!」

ケンカの原因を聞いてみればそんなくだらないこと。だが、悪い気はしない。大切な人にカッコイイといってもらえるのだから当然だ。

「そんなの主観の問題でしょ~?どっちがカッコイイとかないんじゃな~い?」

くだらないと吐き捨てるようにそう告げ、チャンミンは呆れたようにため息をこぼした。

確かにその通りだ。睨んでいた視線を緩め、ジンは顔を隠すようにジェジュンの胸へ額を押し付ける。しかし、ユファンには理解できなかったようだ。しかめっ面のまま首をかしげ、チャンミンを見上げた。

「意味、わかんねぇぞ…」

「ジン兄さんはわかってくれたみたいだけどね~」

「…なぁ、ジン。どういうコトだ?」

さっさと背を向けてしまったチャンミン。これ以上聞いても答えてくれないだろうと、ユファンは矛先をジンへと向けた。ついいましがたまでケンカしていたというのに、あっさりと手のひらを返す。

「ジェジュン君、お仕事の邪魔しちゃってゴメンなさい…」

「大丈夫ですよ。もうすぐ終わりますから、あと少しだけ待っててくださいね?」

「うん」

ユファンの言葉を無視したままジェジュンと言葉を交わし、跳ねるように膝から降りる。そしてジンはこれ以上邪魔はしたくないと言わんばかりに踵を返した。

「お、おい、ジン!教えてくれよっ!」

追いかけるようにユファンもまたユチョンの元を離れていく。まるで兄弟のようなふたりを見送り、ユチョンは苦笑いを浮かべた。

「これじゃどっちが兄弟かわかんないな…」

思わずぽつりとユチョンが呟く。ジェジュンは目を伏せながらかすかに微笑み、その肩へと触れた。

「大丈夫。誰が見てもユチョンとユファンは兄弟だよ」

「そう?」

確かめるような問いかけに笑顔で頷き、ジェジュンはステージへと促した。早くリハーサルを終わらせないと一緒にいられる時間が減ってしまう。

先ほどよりも集中した様子でリハーサルに励み、10分ほど予定時間を遅らせてしまったがなんとか終了した。

足早にステージを去ったふたりは、いなくなってしまった大切なひとを探すように左右を見渡しながら足早に進んでいった。

「どこに行っちゃったのかな…?」

「一緒にいると思うんだけど…」

きっと一緒にいるだろう。ケンカをしていたというのに、ユファンはジンの後を追いかけていった。ふと、そんなふたりの耳に聞こえてくる声。耳ざとく聞きつけ、ふたりは音源を頼りに足を進めた。

「なぁ、ジン。まだ食べちゃダメなのか…?腹減って死にそうだぞ…」

「ダメ~…みんな来てから食べるのぉ…」

どちらも元気のない、か細い声。開け放たれた扉を見つけ、中を覗き込む。するとそこにはまるで屍のように横たわるふたりの姿があった。

「…」

思わず笑みが浮かぶ。目の前にたくさんの料理があるのに手をつけずに待つ姿。一生懸命我慢しているのだろう。時折欲望に負けそうになり手を伸ばすが、それはすぐに戻された。

「ジン兄さん」

声をかければ横たわったまま、顔を少しだけ持ち上げる。そしてジェジュンの姿を見つけ、目を輝かせながら手を伸ばした。

「ジェ、ジェジュン君っ!」

「お待たせしました」

すでに自力で立ち上がることもできないようだ。まるで蛇のように移動してくるジンを抱き上げ、その頬に口づけた。抱きしめようと、口づけをしようと、怒る人はここにはいない。

「さぁ、ゴハンにしましょうね?」

スタッフも含め、関係者全員のために用意された食事。広い部屋にはたくさんの料理が並べられていた。バイキング方式なので、お皿を手に好きなものだけをよそっていく。

「はい、ジン兄さん。まずはエネルギー補給しましょうね?」

「ユファンもとりあえず食べて」

「食べていいのか?ジン、怒らないか?」

尋ねるように振り返れば、そこにはすでにジェジュンの手によって運ばれてきた料理を貪る姿。それを認め、ユファンも慌しく空っぽの胃袋に料理を詰め込んでいく。

遅れてやってきた3人は、その姿に思わず目を見開く。しかし、よくよく考えてみればいつものことだ。特に驚くことでもない。

開演まであと3時間。食事を取ってコンサートに備えようと、5人もふたりに遅れをとりながらもゆっくりと食事を始めた。










続く。
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テーマ : BL小説 - ジャンル : 小説・文学

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