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Close your Eyes ep.93-4



HP『Sweet Drops』用に書かれた作品になります。原文のまま転記したので長文になります、ご了承ください。












しばらくベットから起き上がることもできなければ、部屋を出ることも叶わない。退屈と寂しさで埋め尽くされた時間を過ごし、横浜での日程が終了していった。

次は大阪だと、新幹線で移動していく。大阪ではまた名物のものがたくさんあると、お好み焼きやたこ焼きなどをいっぱい買ってきては楽屋で食べる。

これでは仕事できたのか、観光に来たのかわかったものではない。それでもジンが楽しいのならばいいだろうと、ジェジュンは微笑んだ。

今日もまたリハーサルから。昨日もやったのだから、そう毎日やらなくてもいいだろうと思う。しかし、そうではないらしい。ユノの力説をどこかつまらなそうに聞きながら、ジンとユファンは大きなあくびをこぼした。

じろりと睨まれればそっと肩をすくめる。そしてふたりは顔を見合わせ、小さく頷いた。そろりと抜け出し、ステージへと駆けていく。

「まったく…」

「ユノ兄さんの話は長いんだよ~。さっさとリハーサル終わらせて、ゴハンにしよ~?」

「…」

どいつもこいつも…。心の中でそう呟き、ユノは深いため息をこぼした。とりあえずいまはリハーサルだ。気持ちを入れ替え、ユノは立ち位置へと戻っていった。

体力は温存しておかなければならない。動きだけを確認しながら、歌を口ずさむ。真剣に取り組んでいる横で、なにやらちらつくもの。

そちらへと顔を向けたユノはぎょっと目を見開いた。音に合わせて踊るふたりの姿。まるで練習を積み重ねてきたかのように完璧だ。

「スゴ…」

「ジェジュン兄さんとユチョン兄さんのパート、完璧だね~」

呆然と見ていたジュンスが遊びを思いついたようにふたりの間へと入る。そして珍しく、チャンミンもまた興味を惹かれたようでその輪の中へと入っていった。

まるで本番さながらだ。一番激しいダンス曲。チラチラとこちらを見遣る2対の瞳に、ユノは今日2度目のため息をついた。

期待には応えたい。それは芸能人として当たり前の精神だ。にわか東方神起とでも称するべきだろうか。ジェジュンとユチョンはその場に腰を下ろし、ふたりの雄姿を微笑みながら見守っていた。

いつの間にか、ユノも遊びだという認識がなくなっていた。きっちり最後まで踊りきり、額に浮かんだ汗を拭う。これをほぼ毎回、最後にもってくるのだから大変だ。ギリギリの体力でこれはかなり拷問に近い。

「ユファン!」

「ジン兄さん!」

同時に名を呼び、同時に立ち上がる。そしてそれぞれの元へと駆け寄り、倒れこんだその身体を抱き起こした。途端にふたりのお腹が鳴り響いた。

「…」

心配したのになんてことはない。苦笑を滲ませながらため息をつき、軽々とその身体を抱き上げた。スタッフからチョコレートをひと欠片もらい、口の中へと入れる。

「ちょっとだけ辛抱してくださいね?」

うつろな瞳のまま頷き、遠ざかっていくジェジュンの姿を見送る。ユチョンもまたユファンを振り返りながらもステージへと戻っていった。

「あのふたり、バックダンサーやんないかな…」

「それはムリだよ~。1曲終わるごとにエネルギー補給しなきゃだよ~?」

「…」

確かにそれは無理だ。せっかく見つけた才能もこれでは意味がない。あっさりと気持ちに区切りをつけ、ユノは戻ってきたふたりとともにリハーサルを再開させた。

「ダンス、いつ覚えたんですか?」

どれだけお腹が空いていたのだろうか。目の前にはたくさんの空き皿。先ほどお好み焼きとたこ焼きを3パックずつ食べた人間とは思えない。

口いっぱいに詰め込んだステーキ。答えたい気持ちはあるようだが、なかなか口の中のものがなくならない。

「ジンは一度見たら全部覚えちゃうんだぞ。すんげぇ、頭イイんだ」

ゆっくりと租借しながら少しずつ食べ進めていたユファンはジェジュンの問いかけにそう答える。確かめるようにジンを見遣れば視界の中で小さく頷く。

「でも、いまは2、3回見ないと覚えられないの~。オレ、頭悪くなったのかな~…」

ようやく口の中にあったものを飲み込み、そう呟く。充分それでも頭がいい部類だ。半ば呆然とし、ジェジュンは同じくユファンの隣で呆然としていたユチョンを見つめた。

「じゃ、じゃあ、コレとかも覚えられちゃったりするんですか?」

取り出したのは日本語の教材だった。かなり上達はしてきていると思うが、まだ覚束ないこの国の言葉。

なにしろひとつの言葉に対して読み方が何通りもある。アクセントをひとつ間違えれば違う意味になってしまう言葉もある。難しい言葉と分類されるこの国の言葉はいまも彼らにとって一番の難題だった。

「覚えられるんじゃないかな~?おじぃちゃんにも覚えておいたほうがイイって言われてるから、やろうかな~とは思ってるんだけど」

日本人はよきビジネスパートナーだ。英語はもちろんだが、日本語を覚えておいて損はない。商談もスムーズに進むだろう。

「それ、あとで貸して~」

「は、はい…」

とりあえずいまは食事が最優先だ。脇に置かれた教材に興味を引かれながらも、ジンはユファンとともにひたすら食べ続けた。

その日の夜から、ジンは取り付かれたように日本語教材を読み漁っていた。しまいには辞書まで読み始め、突拍子のない行動にはなれたはずのジェジュンも驚きを隠せなかった。

「ジェジュン君、ジェジュン君、日本語で話して~」

「日本語ですか?」

期待にみちた眼差しを向けられ、ジェジュンは少しだけ躊躇いを覚えた。完璧とはいえない日本語で覚えてしまっては意味がない。

「ジェジュン君、早く~」

急かすようにそう告げ、座ったまま器用に近づいてくる。しょうがないとひとつ咳払いをし、ジェジュンはその眼差しを見つめ返した。

「ジン兄さん、愛してます」

それは予想していなかった言葉だ。きょとんとした表情でだんだんと頬を赤らめていく。そして少しだけ俯かせ、視線を彷徨わせた。

「え、えっと…オレ、も…好き」

ひとつひとつ確かめるように、たどたどしくではあるが日本語が口からこぼれる。本当に意味を理解できているようだった。

「明日の夕飯、何にしますか?」

できる限りゆっくりと、音を大切にしながらそう問いかける。すると俯いていた顔が持ち上がり、今度は視線が宙を彷徨い始めた。

「串カツ~っ」

「じゃあ…ふたりで抜け出して、食べに行きましょうか?」

「ヌ、ヌケ、ダシ…?」

頭の中にない単語にぶつかり、ジンは首を左へと倒した。そして閉じたはずの辞書を取り出す。真剣な顔でページをめくるジンにジェジュンはそっと微笑んだ。

「ヌケ、ダス…?」

似たような言葉を見つけ、その意味へと目を走らせる。そして小さく頷き、パタンともう一度辞書を閉じた。

「ジェジュン君、オレ、ふたりだけ~っ」

「はい」

まるでテストで満点を取った子どものようだ。はしゃぐジンを抱き寄せ、約束と囁きながら小指を絡める。甘えるように擦り寄るジンの頭を撫で、ジェジュンはその額に口づけた。

「勉強はもう、明日にしましょうね?」

「うん」

もう夜も遅い。明日もコンサートだとジェジュンはベットライトへと手を伸ばし、静かに明かりを消した。

大阪でのコンサート日程がすべて終了すると、今度は福岡へと移動。ジンやユファンはそれほどでもないが、やはり5人には疲労の色が見え始めていた。

新幹線の中、うつらうつらとするジェジュンを見つめ、ジンは起こさないようにとそっとその頭をひざの上へと乗せた。

柔らかな髪を梳き、無防備なその寝顔を見つめる。隣を見遣ればユファンがじっとその様子を見つめている。そしてジェジュンと同じように惰眠を貪っているユチョンの頭をわし掴み、ひざの上へと引き寄せた。

そんなに力任せに倒してはユチョンが起きてしまう。はらはらと見守っていたが、どうやらその程度では起きないほどに深い眠りへ落ちているようだった。

「ジン、食うか?」

いつもより控えめな声。差し出されたのは新幹線へ乗り込む前にユファンが買っていた駅弁だった。頷けば懸命に手を伸ばしてジンへと差し出す。

「ありがと~」

ジェジュンの顔に食べこぼしをしてはならないと、身体を少しだけ横へずらしてゆっくりと食べ進める。窓の外を見ていても、夜ではあまり景色も楽しめない。

弁当を食べ終わってしまえばまた退屈な時間。しょうがないとジンはカバンの中から辞書を引っ張り出した。そしてまたいつものようにそれを無心で読み続けていた。

間もなく到着というアナンスが流れ、ジンは躊躇いながらもジェジュンを揺り動かした。長いまつげが揺れ、ゆっくりと瞳が姿を現す。

しばらくぼんやりとしていた瞳の焦点が定まったかと思うと、ジェジュンはそっと微笑んだ。そしてまくら代わりになっていたジンの足を優しくなでる。

「ありがとうございます」

「ううん。少しは休めた?」

「はい」

よかったと安堵の笑みを浮かべ、隣の座席に置いておいた辞書をカバンの中へと戻す。続々とメンバーたちは目覚め、下車用意を始めた。

「ユチョン、そろそろ起きないとホントに着いちまうぞ?なぁ、ユチョン」

しかし、ユチョンだけはどんなに揺り動かしても起きる気配がない。どうしようかと焦っていると、準備を終えたジュンスが歩み寄ってきた。

いつもなら睨み付けるのに、いまはそれどころではないようで視線で助けを求める。

安心させるように微笑み、ジュンスはユチョンの耳元へと唇を近づけた。何をする気だろうかと、芽生えた警戒心のせいでわずかに眉間に力が入る。しかし、そんなユファンの様子には気づかず、ジュンスは口を開いた。

「ユファンが結婚しちまうぞ」

「へ?」

どういうことだと問いかけようとしたそのとき、視界を大きな何かが横切った。あれほど声をかけても揺すっても反応がなかったのに、たった一言、しかも囁くような小さな声で一発だ。

「ユ、ユチョン…?」

恐る恐る顔を覗き込めばそこには不機嫌そうな表情。しかも目が据わっており、ユファンは思わず身を引いた。

「ユファンは誰にもやんない…っ」

「ほら、さっさと準備しろ。ホテルついたら好きなだけ寝ていいから」

投げられた荷物を受け取り、ユチョンは何度か瞬きをした。次第に瞳は生気を取り戻し、大きなあくびがひとつこぼれた。

「う…?」

「ユチョンは1回眠るとなかなか起きないんです。でもなぜか、あの言葉を言うとすぐに起きるんです。呪文みたいなモノですね」

いつものことだが初めて目の当たりにするジンとユファンにとっては驚きだ。とりあえずと引きずられるようにホームへと降り立った一行は車へと乗り換え、ホテルへと走り去っていった。









続く。
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