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Close your Eyes ep.93-7



HP『Sweet Drops』用に書かれた作品になります。原文のまま転記したので長文になります、ご了承ください。












窓の外は詰め掛けた人々で、外はごった返していた。きっと、彼らがこの店を出るまでこの混乱は続くのだろう。思えば、前回のコンサートでは自分もまたそのひとりだった。

そして、今を思う。

片づけを終えて集まってくるスタッフ。その中には今回の演出を手がけた日本の著名人もいる。遠巻きに見るだけだったのに、なぜか彼らは目の前。いまだ輪に入れないまま、アヤはひとり取り残されていた。

「アヤちゃん、座りなよ~」

いまもまたジェジュンの隣へ当然のように腰を下ろしたジンが人懐っこい笑顔を浮かべて手招きする。行きたい気持ちは山々だが、どこに座れというのだろうか。

「ジュンス君の隣でイイでしょ~?」

「えっ!?」

さらりとそう言い放ったジンの言葉に過剰なまでの反応を返す。挙動不審に拍車がかかったアヤを見つめ、ジンは小さく首をかしげた。

「アヤちゃん、ジュンス君のファンだと思ったんだけど…違った?」

確かめるように問いかけた先はチャンミンの隣に座っていたボアだった。大好きなジェジュンとは少し離れた位置。しかし、ボアにとってはこの距離が救いだ。これ以上近づいてしまっては、取り乱しかねない。

「正解です。ジン兄さん、どうしてわかったんですか?」

「だって…コンサートのとき、いっぱいジュンス君の名前呼んでたもん。ね?ユファン」

「そうだったか…?」

ユチョンに夢中だったせいで、他のことはまったく覚えていないようだ。腕を組んで、難しい顔で首をひねるユファンにジンは少し呆れたような視線を向けた。

そして、またいつのまにか蚊帳の外だ。座るタイミングを再び逃してうろたえていると、ジュンスと相談をしていたユノが静かに立ち上がった。

「こちらへどうぞ」

先ほどから不憫に思えて仕方がない。本当ならジュンスが迎えに行くべいだろうが、ここで率先して動いてしまってはあとでユチョンになにを言われるかわからない。相談しあった結果、ユノが立ち上がったというわけだ。

いままでユノが座っていた位置へとアヤは腰を下ろし、ユノはひとつ隣へと移動した。

コンサート開始前に楽屋で話せなかったことを悔やんでいたというのに、また口は閉ざされたまま。顔を見ることもできず、とり憑かれたように次から次へ酒を飲み進めていく。その様子にジュンスとユノは唖然とするほかなかった。

「ひとつ、聞きたいコトがあるんですけど…」

俯いたまま、ぽつりとそんな言葉が聞こえてきた。抑揚のない声にジュンスは思わず箸を止め、若干引き気味になりながらも続きを促すように首をかしげた。

「この人と…」

声は静かなのに、行動は突拍子もない。ジュンスを挟んで反対側にいたユチョンの胸倉を掴み、アヤは据わった目でジュンスを見上げた。

「付き合ってるってウワサ、本当ですか?」

大きな声を発しているわけではない。なのになぜか、部屋は一瞬にして静まり返っていた。

心臓を直に掴まれたような衝撃だ。呼吸は止まり、ジュンスとユチョンは顔を見合わせたまま凍りついていた。

どう応えたらいいものか…。

そう悩んでいると不意に、アヤの身体がぐらりと傾く。そして運がいいのか悪いのか、ジュンスのひざの上へと見事に着地していた。続いて聞こえてきた寝息に全身の力が抜け、思わず息をつく。

「た、助かった…」

その言葉は本心だった。恋人ではないと嘘はつきたくない。かといって公表することもできない。どれだけ尋ねられても無言しか返せないだろう。

「アヤ、こんなところで寝ちゃダメです~」

「い、いいよ、そのままで。起こしちゃ可哀想だから…。その、あとでちゃんとホテルまで送ってくから」

それは罪悪感から来る、せめてもの償いだった。揺り起こそうとするボアの手を慌てて遮り、ジュンスは若干引きつったような笑みでそう告げた。

「大丈夫です。アヤは今夜、私と一緒に実家へお泊りする予定です」

「実家…?アヤちゃんの実家?」

「いえ、違います。私の実家です」

ゆっくりと右へ傾いていくジンの頭。それは途中でジェジュンの肩で塞き止められた。

「ボアちゃん、お父さんとお母さんは日本に住んでるんだって~。だから、日本語もペラペラなんだって。今度教えてもらう約束したんだ」

いまさっき聞いたばかりの情報をさも前から知っていたかのように告げる。ジェジュンの肩に頭を預けたままチャンミンの言葉を聞いていたジンはキラキラと目を輝かせた。

「ボアちゃん、オレにも教えて~」

「はい、私なんかでよければ」

「あと、あと、ボアちゃんのお母さんとお父さんにご挨拶行ってもイイ~?」

「ジン兄さん…っ」

さすがにそれは許可できない。頬を両手で挟み、ジェジュンは無理やりにジンを自分のほうへと向けさせた。ひょっとこのような間抜けな顔のまま、なぜ怒っているのかと小さく首をかしげる。

「その前に、僕の両親に逢ってもらえませんか?」

「えっ!?あ、あの、えっと、その…う、ん…」

恥じらいながらも姿勢を整え、赤らんだ頬で小さく返事をする。もじもじと指先をいじるジンに微笑み、ジェジュンはその身体を引き寄せた。

「チャンミン、ボアちゃんたちのコト送ってあげて」

「もっちろ~ん」

最初からそのつもりだと、明るくそう応じる。ひとりで大丈夫だと言い張るボアに一見害のなさそうな笑顔を浮かべ、そっと手を包み込んだ。

「日本は治安がイイって言うけど、やっぱり夜に女の子だけで出歩くのは危険でしょ~?だから僕に送らせて」

「…じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて…」

「うん」

堪えろ。ユノは何度も心の中で自分に言い聞かせていた。

グラスを持つ手は震え、頬が引きつり始めている。それに気づいてしまったジュンスとユチョンだが、ここは関わらないほうが身のためだと眠ってしまったユファンを担ぎ、少し離れた場所へと移動した。

「チャンミン、ジェジュン、そこに座れ…っ」

「え~?これからボアちゃんのコト、送ってかなきゃなんだから手短にしてよね~?」

チャンミンの神経を逆なでするような一言。俯いていた顔を上げればそこには芸能人とは思えない形相があった。

まさかここまで怒っているとは思わなかった。失敗したなと心の中で呟き、チャンミンはそれ以上の反抗をやめた。

楽しいはずの打ち上げが説教で締めくくられる。傍から見れば面白いのだろうが、当事者たちは笑えない。

ひとりあたふたとするジン、我関せずを通すジュンスとユチョン、そしてボアはユノの剣幕に驚き、目を見開いていた。

延々、1時間にもわたる説教。ようやく解放されたジェジュンはホテルへと戻り、まるで自分が叱られたかのように瞳を潤ませるジンを優しく抱き寄せた。

「ツアー、終わっちゃいましたね…。もっと長ければ、ジン兄さんと一緒にいられる時間が増えるのに…」

心をくすぐるような甘い言葉。かすかに身を震わせて縮こまっていた手を伸ばし、ジンはぎゅっとジェジュンへと抱きついた。

最後の甘い夜。昼過ぎまでゆっくりとホテルで過ごし、溜まった疲れを癒す。そして14時。時間通りに集合したメンバーは帰国すべく空港へと向かった。

少し時間があるとお土産を物色していると、不意に携帯電話がポケットの中で震えだす。取り出してみてみれば、非通知の表示。首をかしげながらもそれを耳へと当てた瞬間、ジンは表情を凍りつかせた。

『久しぶりだな、チュンジェ。私だ、忘れてはいないだろう?』

「…っ」

なぜか、寒気が全身を支配していく。理解できない感覚に、声も出なければ動くこともできない。ただ、何かを伝えようと繋いだままのジェジュンの手をぎゅっと握り締めた。

『お前にプレゼントを用意しておいた。気に入ってもらえると嬉しいんだが…』

この人が用意するプレゼントなど、普通ではありえないのだから嬉しいはずもない。誰かに何かをした、それしか想像できなかった。

『近いうちに、再会できるだろう。その日を楽しみにしているよ』

ガタガタと不自然に身体は震えていた。額には脂汗が浮かび、表情は青ざめている。

「ジン兄さん、どうしたんですか?」

通話が切れた途端、全身の力が抜けていくようだった。倒れそうになったジンを慌てて支え、ジェジュンは懸命にその名を呼んだ。

「ジン!」

遠くから聞こえる声。空ろな瞳を持ち上げ、ジンは駆け寄ってくるその姿を見つめた。その手に握られているのは携帯電話。きっと、ホンマンにも誰かしらから連絡があったのだろう。そしてそれは悪夢の幕開けに違いない。

「ホン、マン…誰かに、何かあった…?」

「…」

傍らに膝をついたホンマンはその問いかけに背筋を凍らせた。注がれる眼差しに心臓が射抜かれるような錯覚さえ覚える。

「答えろ…っ」

事態を飲み込めないまま、緊迫感に包まれていく。声を発することもできず、ジェジュンはジンの身体を支えたままその横顔を呆然と見つめていた。



僕は強くなる。

大切な人を守るため、僕はもっと強くなる…。

 








written by.yue
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テーマ : BL小説 - ジャンル : 小説・文学

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