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Close your Eyes ep.94-4



HP『Sweet Drops』用に書かれた作品になります。原文のまま転記したので長文になります、ご了承ください。












その翌日は、エリックもまた忙しいスケジュールの合間を縫ってジンの元を訪れていた。昼間からお酒を広げ、賑やかな時間を過ごす。

普段ならウォンタクも保育園に行っている時間。しかし今日ばかりは一緒にいたいというジンの申し出もあり、ひとりだけ理由も知らないままはしゃいでいた。

「クラウド、エリック兄貴に登っちゃダメだってば~っ」

「レインっ、スリッパを持ってくなっ!」

明日のことは考えずにいよう。それは全員が思うところだった。ただ今日という日を楽しく過ごすだけ。心は沈んでいたが、それでも全員は笑い続けた。

はしゃぎ疲れて眠るジンはいつも通りで、その寝顔に胸が締め付けられる。自然と涙が浮かび、ジンを欠いたリビングは先ほどまでの賑やかさが嘘のように静まり返っていた。

口を開けば不安が飛び出しそうになる。きっと、全員が同じ気持ちだったのだろう。だから顔も合わせられない。一様に視線は足元へ落とされたまま、言葉もなく酒を飲み続けていた。

そんな空気を破るようにインターホンが鳴り響く。パタパタと足音を立てながらインターホンへとたどり着いたミヌは映りこんだ顔にそっと微笑んだ。

「鍵は開いてるから、入ってきて」

『はい』

一瞬だけ聞こえた声。耳ざとくそれを聞いたドンワンは片眉を上げ、階段を振り返った。聞こえてくる複数の足音。先頭に立つ人物にドンワンは予想が正しかったことを知った。

「夜分にすみません。ジン兄さんは?」

「ゴメンなさい。はしゃぎすぎちゃったみたいで、もうウォンタクと一緒に寝ちゃったの」

「そうですか…」

残念だという気持ちはあるが、こればかりはしょうがない。すでに日付は旅立ちの日を迎えてしまっている。これでも頑張ったほうだ。朝の時点で終了予定時刻は午前5時だった。それを考えれば2時間半も短縮している。

「今日、泊まってもいいですか…?できればお見送り、僕もしたいんで」

「うん。きっとジンも喜ぶよ」

「あ、あの、オレたちもイイですか…?」

すっかり蚊帳の外で勧められている会話。ジェジュンの背中から顔を出し、ジュンスが代表してそう問いかけていた。

「うん。みなさん、夕飯は食べました?よければ何か作りますけど…」

「大丈夫です。お気遣い、ありがとうございます」

妙な面子が揃ったものだ…。エリックはそう心の中で呟いていた。何しろ、彼らの後ろには休業を突如申し出た事務所の後輩もいる。

視線が合うと、少し気まずそうにしながらも会釈が返ってきた。軽く手を上げて答え、酒を勧める。広いリビングだが、さすがにこれだけの人数が揃うと手狭に思えてしまう。

しかし、人数が増えたところですることは変わらない。やはり言葉もなく酒を飲み勧める。そうして眠れぬ夜は更けていった。

気づくと、おいしそうな香りが立ち込めていた。いつのまにか眠ってしまっていたようだ。フローリングへ直に寝ていたせいで、少し身体が痛い。

キッチンへ目を遣ればミヌとヘソン、そしてジェジュンが立っていた。総出でジンの好物を作っているのだろう。重たいまぶたをこじ開け、寝癖のついた頭をかく。そしてエリックは隣に転がっていたカンタを蹴飛ばした。

「ん…?」

「ジン、起こしに行くぞ」

「ん…」

そう促せば、覚束ない足取りでカンタも動き出す。開けっ放しの扉をくぐれば広いベットに身を寄せ合う親子の姿。

「ジン、朝だぞ?さっさと起きろ」

「ん~…?エリック兄貴だ~…おはよぉ…」

しかしまだ眠いようで、身体は起きたがまぶたは今にもくっつきそうだ。カンタはいまだ眠っているウォンタクを抱え、ジンの様子にそっと微笑んだ。

「ほら、さっさと起きて~」

「起きてるぅ…」

口ではそう言いながらも一向に動き出す気配はない。予想通りだ。しょうがないと息をつき、エリックはジンを背負い、足を引きずるように歩き出した。

「ホントに手のかかるガキだな…」

「って言いながら、楽しそうだね~?」

ニヤニヤと笑うカンタに蹴りを1発お見舞いし、じろりと痛みを堪えるその顔を睨みつける。そしてエリックはジンを起こすべくシャワールームへと消えていった。

運がいいのか悪いのか、ジェジュンは朝食にかかりきりだ。ふたりがバスルームに入ったことさえ気づいていない様子だった。
シャワーを浴びてすっかり目が覚めたジンはリビングへと戻り、まず気づく。どうして彼らがここにいるのだろうかということに。しかし、一番逢いたいと思う人がいない。

「ジェジュン君…?」

求めるようにそう名を呼ぶ。そんな小さな声など絶対に聞こえるはずはない。しかし、ジェジュンは何かを察知したようにキッチンからリビングを振り返った。

「ジン兄さん」

背中に降りかかった声。ピクリと身体を震わせ、髪から雫が落ちることも厭わずジンは素早い動きで声のしたほうを振り返った。

「ジェジュン君っ!」

いままさに走り出そうとしたジンの腕を何かが掴む。懸命に前へ進みたがるジンを引きずるように座らせ、カンタは小さく息をついた。

「髪、乾かしてからね?」

「で、でも、でも…」

時間がもったいないと言っているようだった。しかし、濡れた髪のままあちらこちらへと行かせるわけにはいかない。

「ねぇ、ねぇ、ジェジュン君たちいつ来たの~?」

「ジンが寝ちゃってから1時間後くらい」

「起こしてくれればよかったのに…」

思わずポツリと本音がこぼれる。確かに起こそうかとも考えたが、それも忍びないと思いとどまった。眠れるときに寝させてあげたいというのがみんなの意見だった。

「ほら、終わったよ。行っておいで」

「うんっ」

勢いをつけて立ち上がった反動で肩にかかっていたタオルがはらりと落ちる。しかしそれには気づかず、ジンは一目散にキッチンへとかけていった。

いつぞやはあんなに怯えていたというのに、いまではすっかり懐いているようだ。犬のように擦り寄る姿を眺めながら、カンタはいまだ雑魚寝している人々を振り返った。

「ド、ドンワン…っ」

マズイところを見られてしまったと、思わず顔が引きつる。しかし、当のドンワンは大して気にしていないようだった。眉間に寄った皺から不機嫌であることはすぐにわかるが、怒鳴る様子はない。

「なに気にしてんだ?」

「だ、だって…ねぇ?」

友人としてさえイチャイチャすることに腹を立てていたのに、この変わりようはいったいなんなのだろうか。さっぱりわからず、引きつった笑みが消えることもない。

「ミヌが1号で、オレが2号、ジェジュンが3号ってトコだな」

「は!?」

さらりと衝撃内容を告げ、ドンワンはエリックと入れ違うようにバスルームへと消えていった。途中から話を聞いていたエリックも驚いたようで、呆然とジンを見つめている。

「なんか、とんでもないコトになっちゃってるみたいだね~…」

「まぁ、当人たちが納得してんならイイんじゃねぇの?オレたちには関係ない」

確かにその通りだ。いろいろと聞きたい気もするが、無粋にはなりたくない。すべての疑問をため息にして吐き出し、カンタはタバコへと手を伸ばした。

続々とテーブルには料理が並べられていく。とても朝食とは思えない料理ばかりだ。しかも、やはり当然のようにジンの好物ばかり。

だんだんと騒がしさが増し、雑魚寝していた人々も起きだす。交代でシャワーを浴び終わる頃にはすべての用意が整っていた。

今日ばかりは私情を持ち込んではならない。あえてカンタには視界に入れないよう勤め、ユチョンはウォンタクと遊んでいた。

会話を楽しみながら朝食を取っていると、時間はあっという間に過ぎていく。かすかに開いていた窓の向こうから聞こえてくるエンジン音が終焉の合図となった。

「さって…そろそろ行かないとだね~」

努めて明るく、まるで仕事にでもいくような口ぶりだ。そうしていると本当にすぐ帰ってきてくれるような気がする。

ミヌがまとめておいてくれた荷物を手に、階段を下りていく。そして靴を履き終え、ジンは玄関に勢ぞろいした見送りの面々を見つめた。

「じゃあ、行ってきます。帰る前にメールするから」

手を振りながら去っていくジンにどんな言葉もかけられない。ただ、ジンが少しでも寂しがらないように、悲しまないようにと笑顔で見送ることだけが使命だった。

「ジン、大丈夫だよね…?」

「大丈夫です。ホンマンがついてますから」

そう答えたのはずっと無言を貫き通していたジェヨンだった。隣にいたヒョンジュンもまた同意するように頷く。

「我々の使命は皆さんを守ること。どうか、落ち着くまでは単独行動を控えてくださいね~」

そう。ジンが無事で帰ってくることを願うのはみな同じ気持ちだ。同時にジンが帰ってきたときに全員が送り出した今日と同様に笑顔で迎えなければならない。

どれくらいの時間がかかるかはわからない。でも必ずジンがここに帰ってきてくれることを信じ、見送りに集まった人々はそれぞれがあるべき場所へと戻っていった。










続く。
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