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Close your Eyes ep.94-5



HP『Sweet Drops』用に書かれた作品になります。原文のまま転記したので長文になります、ご了承ください。


コメントありがとうございます。難しいところですが・・・ミヌとドンワンとジェジュンはジンにとって同じくらい大切な存在で、ただいつでも会えるわけではないジェジュンがやはり優先になってしまうだけです。ジンの中では浮気ではなく、全て同じ愛情になりますので・・・。

あと、今回のお話の前に『お父さん』に関するお話がありました。内容に不都合がでる為、翌日からep.95としてそちらを更新したいと思います。その後、ep.94を改めて更新したいと思います。前後してしまい申し訳ありません。











母国を旅立って十数時間。いつもならば行き先はひとつだけ。しかし、今回はそこへ行くことは許されない。これ以上誰も巻き込みたくなかった。

拠点をホテルとし、ジンはベットに身体を投げ出した。唐突に寂しさが襲ってくる。

初日からこんなではどうしようもないと、自らを叱責しても一度覚えてしまった感情が消えることはない。唯一大好きな人たちとの繋がりである携帯電話を引き寄せ、ジンはまぶたを閉じた。

「ジン、どうした?」

「…ううん、なんでもない。それより、現段階でわかってるコト全部教えて」

「…わかっているからアメリカに来たんじゃなかったのか…?」

閉じていたまぶたを開き、ジンは小さくかぶりを振った。そして少し寂しげな瞳でホンマンを見上げる。

「なんとなく、ココくらいしかないかなって…。たぶん、お父さん拉致したのもあの人でしょう…?それに、アメリカの領土内での事件は、もみ消されちゃったし…」

相変わらず観察眼といったところだろうか。脱帽せざるを得ない。小さく息をつき、ホンマンは窓際においてあったイスを引き寄せた。そしてベットに寝そべるジンと向かい合うように腰を下ろす。

「実際、オレもまだ状況を把握し切れていない。確かに、あの男はこの国にいる。それは間違いないだろう。だが、この国のどこにいるかまではわからない」

「…そう。じゃあ、向こうが手を出してくるのを待つしかないね…」

本当ならばこちらから仕掛けたいところだが、手の出しようがない。諦めるように息をつき、ジンは窓の外を見つめた。

「なんか、あの人らしくないんだよね…。ちょっと焦ってるカンジがする」

「…オレも同意見だ。いつもならばもっと綿密な計画を立て、それを基に実行するはずだが、最近はあまりにもおざなりすぎる。何か、焦っている理由があると見て間違いない」

ふたりともが違和感を感じていたのであれば、ほぼ間違いないだろう。重い身体を起こし、タバコへと手を伸ばす。そして口へ咥えればホンマンがその先端に火を灯した。

「早く終わらせて帰ろうね…?」

「あぁ」

部屋に白い煙が浮かび上がっては陽炎のように消えていく。不安を色濃く浮かべた横顔を見つめ、ホンマンは静かにさらなる決意を固めた。

しかし、あの人はふたりをあざ笑うかのようにぱったりと動きがなくなった。母国に残してきた大切な人たちに連絡を取ってみても、平和だという。

痺れを切らすのを待っているのだろうか。焦れば焦るほど、冷静な判断も行動もできなくなる。そうなって罠にかかりやすくなるのを密かに待っている。そうとしか思えなかった。

けれど、空白の期間が1週間、10日、1ヶ月と続いては当然のように精神が疲弊していく。昔ならばなんともなかっただろうが、いまは違う。

「ホンマン、車出して…」

「…わかった」

どうにも埋まらない寂しさ。耐えるには心が幼すぎた。ジンに言われるままたどり着いたのは父と慕う人間の家だった。だが、少し離れたところに車を停車させたまま動き出そうとはしない。

街灯だけが照らす道を窓越しに見つめる横顔はいまにも泣き出してしまいそうだ。ふと、よく見知った車が滑り込んでくる。

思わず身を乗り出し、反射的にドアノブへと手をかけた。しかし、外へ踏み出すことはできない。間一髪で思い留まり、ジンはただ車から降り立ったその人を瞬きもせずに凝視していた。

「お父さん…っ」

こんなに近くにいるのにそばにいけない。できることならこのまま駆け出し、その胸の中に飛び込んでしまいたい。そうすれば一瞬にして胸に巣くっているこの寂しさも消えるだろう。

触れたいという願望からか、手のひらが窓を撫でる。しかし、すでにスンフンの姿は見えなくなっていた。時間にしてたった数秒。癒されるはずの寂しさはさらに増してしまったようだ。

思わず、ホンマンはこぶしを握り締めた。本当ならば、イタリアですべてが終わっているはずだった。そうすればまた、こんなにも苦しむ主の姿を見ずに済んだのに…。

押し寄せてくる後悔に、注意を怠っていた。ライトを消して不自然に近づいてくる車。気づいたホンマンはすぐにエンジンをかけ、車を急発進させた。

「ホ、ホンマン…?」

「しっかり掴まってろ」

静かだった住宅街に、軋むようなタイヤ音が響く。その音は着替えをしようとしていたスンフンの耳にも届いていた。

「なんだ?こんなトコでカーチェイスか?いい迷惑だぞ…」

「…」

確かに迷惑もいいところだ。しかし、何か嫌な予感がする。それが何を示すものなのか…。答えはすぐそこにあるような気がするのに、まるで靄がかってしまっているようだ。

「スンフン兄?」

「…なんでもないよ。さぁ、ゴハンにしよう。お昼を食べ損なったからお腹が空いてるんだ」

「そうだったのか?だったらもう少し多く作っとけばよかったぞ…」

生憎いまからでは量を増やすことはできない。眉間に皺を寄せて考えてみても、どうにもなりはしない。その様子にスンフンは微笑み、優しく髪をなでた。

その頃、ホンマンはカーチェイスの真っ最中だった。しかし、生憎とこの国の地理には詳しくない。撒こうと思ってもうまくいかない。

ついには行き止まりに嵌り、ホンマンは素早く運転席を飛び出した。そして後部座席を開き、ジンの手を強く引く。

「行くぞ」

「う、うん…」

おそらく、ダウンタウン辺りだろうか。時折物騒な目つきをした輩が目に入る。だが、いま追いかけてきている人間よりはまだましだ。

入り組んだ、薄暗い路地を進んでいく。視界が悪いせいで時折転びそうになりながらも、ふたりは懸命に走った。追いかけてくる足音は止まない。息は上がり、足も縺れ始める。

これ以上ふたりで逃げるのは無理だ。ホンマンは走りながらそう結論付けた。まずは主であるジンの命を優先すべく、ホンマンは狭い路地にあったゴミ捨て場のような入れ物のふたを開けた。

「ここに隠れてろ」

「で、でも、ホンマンは…?」

「大丈夫だ。絶対にお前の元へ戻る。心配するな」

ホンマンの覚悟を悟り、ジンは激しくかぶりを振った。このまま行かすわけにはいかない。

「絶対に声を出すな。お父さんのところで待ってるんだぞ?」

「ダ、ダメだよ…っ」

これ以上、話をしている時間はなかった。手を無理やりに解き、ジンを押し込めたゴミ箱のふたを閉める。そしてホンマンは振り返ることなく走り出した。

呼び止めたいのに、声も出ない。真っ暗な小さな箱の中、ジンは懸命に震える身体を抱きしめた。鼻につく匂いも、時折聞こえる虫の這うような音も、まるで感じない。ただ、じわじわとこみ上げてくる恐怖だけがあった。

箱の外を複数の慌しい足音が通り過ぎていく。どれくらいそうしていたのか、ジンは意を決したように扉へと手をかけた。

鉄製の扉は酷く重い。わずかにできた隙間から外の様子を探る。物音もないし、話し声もない。できる限り音を立てないように外へと降り立ち、涙ぐんだ瞳で辺りを見回した。しかし、そこにホンマンの姿があるはずもない。

記憶を頼りに細い路地を進んでいく。しばらくして見えてきた車には、複数の人だかりがあった。思わずこぼれそうになった声を手のひらで塞ぎ、コンクリートに身体を隠す。

これでは車に近づけそうもない。足元に注意をしながらジンは来た道とは違う方向へと歩き出した。

とりあえずいまは身を隠すべきだ。こんな暗闇では何もできない。廃屋と化した建物の隅に膝を丸め、額を押し付ける。そうして、夜が明けるのをひたすらに待った。

「…」

一睡もできないまま迎えた朝。白み始めた空を見ても、心は晴れない。ただ、不安と恐怖があるだけだった。

震える足を引きずるように前へと進む。昨晩、車を乗り捨てた場所に戻ってみたが、そこにはもう何も残されていなかった。

「…っく」

もう、声を殺すこともできない。早朝の静けさの中、ジンはかすかにしゃくり声をあげた。独りきり。その寂しさ心を押しつぶしていく…。

最初はイタズラ電話かと思った。このご時世に公衆電話など使うヤツがまだいるのかと罵りたくもなる。無言だけが続く電話の中、時折しゃくりあげる声が聞こえた。

「おい、お前は誰だ?イタズラなら他を当たってくれ」

『っく…AJ…助けて…っ』

それは親しいものだけが呼ぶ、自分の愛称だった。離しかけた携帯電話を耳元へ戻し、アレックスは注意深く電話の向こうを探る。

「誰だ?オレの知り合いかい?名前を教えてくんねぇか?」

『ジ、ジン…っ』

それは何度か空港から父が勤めるという病院に送ったことのある東洋人だった。確かに、仕事用ではないプライベート用の名刺を渡した記憶がある。そこには愛称であるAJとだけ名前を記していた。

それにしてもただならぬ様子だ。一見、軽薄で薄情そうに見えるアレックスだが実際は情に厚い。助けを求められれば放っておくことはできない。

「いま、どこにいるんだ?なんか目印みたいなモンはあるか?」

携帯電話を耳に当てたままベットから起き上がり、シャツを纏う。そしてジーパンを着用したアレックスはカギを手に家を飛び出した。

いつもなら真っ先に愛犬へ朝の挨拶をするのに、それも忘れるほどアレックスは動揺していた。いくつかの目印から割り出したポイントへと車を走らせる。

ひとつももらさぬようにゆっくりと走行しながら辺りを見回していたアレックスは公衆電話に目を留め、車を降り立った。

「ジンっ!」

受話器は垂れ下がったまま。しかし姿がどこにもない。何かに怯えて場所を変えてしまったのか、それとも何か事件に巻き込まれてしまったのか。嫌な想像だけが脳裏を駆け巡る。

注意深く辺りを探っていると、細い路地裏のゴミ溜めからかすかに靴らしきものが見えていた。慎重な足取りでそれへと近づき、その向こうを見遣った。

まるで子どものように怯える姿。膝を抱え、身体は小刻みに震えていた。考えるまでもなく、自然と身体が動いていた。

「くっせぇな…お前、どこに寝てたんだ?」

しかし、問いかけてみても返答はない。初めから期待はしていなかったからか、アレックスは大して気にもせず、その身体を車の後部座席へと寝かせた。

「待ってろ?すぐ、父さんトコに連れてってやるからな」

事情を聞きたいのは山々だが、いまはそれどころではない。アレックスは運転席へと飛び乗り、目的地へと急行した。

病院へたどり着いたのはいいが、父親がなんという名前なのかもわからない。受付の女性としばらく問答を続けてみたが埒が明かなかった。

しょうがないと、アレックスは車へと戻り、後部座席でいまだ震えているジンを抱き起こした。そして担いで再び受付へと戻り、もう一度説明を試みようとした。

しかし、その必要はなかったようだ。受付の女性は担がれたジンの顔を見るなり、すぐに電話を手に取った。二言三言交わし、アレックスを見上げた。

「少々お待ちくださいませ」

「あ、あぁ…」

この受付はなんなのだろうか。ひとのよさそうな微笑とは裏腹に、声に抑揚が薄い。まるでそう教育されているようだ。

「ジン!」

振り返ったアレックスは思わず目を見開いた。これが父親なのだろうか。それにしては若すぎる。それとも見た目が若いだけなのか…。一瞬にして様々な憶測が駆け巡る。

背中が軽くなり、アレックスは呆然とジンを抱きかかえるその人を見つめていた。










続く。
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