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Close your Eyes ep.95-9



HP『Sweet Drops』用に書かれた作品になります。原文のまま転記したので長文になります、ご了承ください。












ベッドで眠る愛しい人の寝顔を見つめながら、そっとその頬に口付けを落とす。ぴくりと睫が震え、瞼に隠された澄んだ瞳が姿を現す。

まっすぐに見つめてくれる、その瞳が好きだった。誰よりも純粋で、綺麗で、自分だけを見てくれる眩しいほどの輝き。

独占する為に何でもした。君の世界を壊しても、自分だけの世界に閉じ込める事になっても、それでもどうしても君を手に入れたかった。

手が触れる。君の手を、二度と離さないと誓う。



待ち合わせは最近出来たばかりのバイキングのお店。入り口前の椅子に座って本を読んでいると、ちょうど向こう側から駆け寄ってくる男性の姿を見つけた。ふっと笑みが零れる。

読みかけの本をバックにしまい、ボアは軽く手を振った。少しだけ高い柵を飛び越え、ユファンはボアの元へと向かう。

「悪い、遅れた。待ったか?」

「いいえ、大丈夫ですよ。お店が混んでいるのでもう少し待ちますけど、ユファン君、大丈夫ですか?」

前後を見ればカップルや友人同士と複数のグループだらけ。女性一人で待つのを不思議そうに周囲は見ていたが、ユファンが来た事で皆の疑問は氷解したようだ。

だが、かえって目立ってしまった事も否めない。見かけは二人とも美男美女、理想のカップル像にも見えた。

ボアはバックから別の雑誌を取り出し、開いたページを見せるようにユファンに差し出す。身を寄せながら覗き込む姿は本当に恋人同士で、周囲の人達は羨望の眼差しで二人の様子を覗っていた。

しばらくすると、店員が二人に声をかけた。雑誌をしまい、案内された席へと座る。

まずはと、一皿目一杯に料理を盛る。戻ってくれば黙々と食べ始め、沈黙の時間が流れる。

「ユファンさん、指輪はどうされましたか?」

お腹が落ち着き始めれば、ずっと気になっていた事がついと言葉となって口から出ていく。あの日以来会うのが初めてで楽しみにしていたが、ユファンの指には何も嵌っていなかった。

持っていたフォークを皿に乗せ、ユファンは少しだけ頬を赤らませたままバッグを漁った。

中からは、くたびれたバックとは不釣合いな綺麗な箱が出てきた。差し出されたそれを了解を得てから受け取り、ボアはそっとふたを開ける。

「素敵な指輪ですね。ユファンさんによく似合います」

細い、銀色のシンプルなデザイン。結婚指輪に近いそれに目を細め、ボアは手の中に包み込みながら大事にユファンに渡した。

「つけないんですか?」

「・・・なんか、もったいなくて。それに、スンフン兄にはオレが買わなくちゃだから、そしたらつける」

箱に刻印されているのは有名ブランドの名前。バイトで生計を立てているユファンには、正直いつになるのか分からない。

一生懸命プランを考えているユファンに微笑みながら、ボアはアイス・ティーに口をつけた。可愛い弟を見ているようで、自然と笑みが浮かぶ。

「そういえば。スンフン兄言ってたけど、タレ目も指輪渡したって・・・どこにあんだ?」

ユファンはボアの両手を手に取り、指一本一本確認していく。だが探しても見つかるわけもなく、ユファンは首を傾げたままボアを見つめた。

軽やかな笑い声。ボアは椅子を横に横にずらすと、少しだけスカートを持ち上げて右足を上げた。

ユファンが無造作にボアの足首を掴み、薬指に嵌ったピンク・ゴールドの輝きを凝視する。その首が、先程より更に傾いていく。

「何で、足なんだ?」

「ジン兄さんが怒ってはずしちゃうのが目に見えてるので、シウォン兄さんの苦肉の策です。でも、ここならお料理する時もお菓子を作る時もはずさなくて済みます」

「・・・ジン?ジン、怒る?」

「どうでしょう?でも、心配なんだそうです」

通り過ぎる男性が露になったボアの足を見ている事に気付き、ユファンは周囲を強く睨みつけた。途端、皆が足早に去っていく。

油断も隙もあったものではない。のんびりとした様子で食事を再開するボアを見つめ、ユファンは自分も置いたフォークを手に取った。

「・・・なぁ。オレも、ジンに怒られるかな?」

「どうでしょう?ジン兄さん、スンフン兄さんの事が大好きですから。ヤキモチやいちゃうかもですね」

今までの事を思い出して、ユファンの眉間に皺が深く刻まれていく。その思いを振り払おうと頭を振るが、それは容易に消えてくれなかった。

つまり、それは事実に近いという事。スンフンへの溺愛の度合いが同じ分、どちらも譲れず喧嘩になるのは否定出来ない。

もうあんな思いはしたくない。ましてや、自分達が喧嘩する事はスンフン自身も辛いだろう。

ユファンの手が止まっている事に気付き、ボアもまた手を止めた。にんまりと笑みを浮かべ、そっとユファンの料理に手を伸ばす。

「あ!ボア、ずりぃぞっ」

「隙ありです~」

奪ったチキンを頬張り、ボアは逃げるように席を立ち上がった。ケーキコーナに走っていくボアを見つめ、ユファンは気が抜けたように笑った。

手元にある指輪をなぞていると、あの日の事が徐々に鮮明に思い出される。熱を持ち始めた頬を両手でおさえながら、ユファンは指輪を隠すようにバックの奥底にしまいこんだ。



「ただいま~」

まっすぐに自宅に帰るのは久し振りだ。スンフンが夜勤でいないのだから、隣に行く必要はない。

それならば、たまっている課題を片付けるのが先決だ。ベッドに放り投げたバックの中からレポートを取り出し、机の上に並べる。

黙々と課題に取り組んでいると、玄関から小さな音が聞こえた。ふと視線を上げて確かめれば、スンフンの部屋にいたのだろう、ストームが慌てたように駆け寄ってきた。

「何してんだ。ほら、こっち来い」

足に擦り寄るストームを片手で持ち上げ、膝の上へと移動させる。再び課題に視線を落とせば、邪魔にならないようストームは膝の上で身体を小さく丸めた。

集中すれば課題はあっという間に終わった。最後の確認と目を通し、ユファンは満足気に頷いた。

テレビをつけてみるも、これといった番組はない。退屈だと呟き、無造作にストームをベッドへと投げる。ユファンはその小さな身体に覆いかぶさった。

ふわふわの毛が頬をくすぐる。その気持ち良い感覚に、更に笑みを深める。

「ストーム。この間勝手にいなくなったの、オレはまだ怒ってるんだぞ」

そう告げれば、ストームはまいったと言わんばかりにお腹を曝け出す。ぐりぐりとお腹に頭をこすりつければ、少し苦しそうにストームの口から呻き声が零れた。

それでもひたすら耐え続け、ユファンが根負けしたのが5分後の事。乱れた前髪をそのままに、ユファンは憂いの表情で顔を上げた。

ストームとしては驚きだ。何故そんな顔をするのか、ストームには全く分からなかった。

「なぁ、ストーム。お前がここに来て、もう3年になるのな?」

嵐の夜、この部屋の前で丸まっていた姿を思い出す。最初、気付かないままに蹴っ飛ばしてしまった。そのまま洗濯機に入れようとして、初めてそれ生き物だという事を知った。

人恋しくて、寂しくて、寒くて、お腹が空いて。いろいろな感情が渦巻く中、久し振りに自分ではない誰かのぬくもりを感じた。それはとても温かくて、柔らかくて、涙が出そうな程嬉しかったのを今でも覚えている。

「ストームは、オレの事、捨てないよな?」

慌てて身体を反転し、目の前にあるユファンの鼻を舌で舐めた。必死に繰り返すのは、言葉をもたないストームの必死のアプローチだった。

徐々にユファンの表情に笑顔を戻ってくる。さすがに舐めすぎて涎だらけになると、ユファンは先程のようにストームを転がして腹部に頭をこすりつけた。

「オレも、ストームの事捨てない。大好きだぞ」

くぐもって聞こえづらかったが、それは確かにストームの耳にも届いた。珍しく嫌がるように抵抗し、ユファンの身体の下からその小さな身体を抜き出した。

そのまま玄関に走り出す小さな身体を追いかけ、ユファンは裸足のまま外へと駆け出した。外は真っ暗、深夜とも言える時間帯だから誰もいるはずがない。

それなのに。ストームは暗闇の中走り、黒い影の隣にちょこんと腰を下ろした。思わず目を疑う。

「な、何で?」

見間違いかと思い、両瞼を強く擦る。でも、目の前の人物は現実のようだ。

「どうしたの?」

穏やかな微笑に、優しい声。ストームを片手で抱え上げ、スンフンはユファンのもとへと歩み寄った。

「だって、スンフン兄、今日は夜勤だろ?」

「あぁ。実は、今月から夜勤するのやめたんだ。急遽変更したから、ユファンには言い忘れちゃったね」

「な、何でだ?まさか、身体の調子でも悪いのか!?」

「違うよ」

慌てふためいたり、怒ったり。くるくる変わるユファンの表情を堪能し、スンフンは悪戯に笑った。裸足のままのユファンに気付き、その身体を容易に抱える。

一度ユファンの部屋に行き、テレビと部屋の電気を消して鍵をかける。そのままの状態でスンフンの部屋に行き、ユファンの足が床についたのは寝室に入ってからだった。

「ユファンが寂しいんじゃないかって心配で、夜一人にさせるのがつらいんだ」

「へ?」

「それは建前で、本当は僕が寂しい。一人で寝るの、寒いし」

「ちょ・・・っ」

耳朶を甘く噛まれ、背をベッドに押し付けられる。慌てて覆いかぶさる身体を手で遮れば、スンフンは涼しい顔でネクタイをほどきながらユファンの脇腹を撫でた。

少しだけ冷たい手に、ぶるっと身体が震える。だが、それだけではない感覚に身体が疼き始める。

「駄目だ!スンフン兄、昨日もしたぞ!」

「うん。そうだね」

「お、一昨日もした!スンフン兄、死んじゃうぞ?!」

「そんなに年寄りじゃないよ。でも、ユファンとだったら腹上死でも構わないかな」

すでに身に纏っていたはずの服は脱がされ、床に散らばっている。無理と決め付けていた分、スンフン自身が反応している事を知った時は驚きだ。

思わずまじまじと見ていると、スンフンは照れ臭そうに苦笑を浮かべた。確かめるようにユファンの中に蠢いていた指を抜き去り、秘孔にそのままぴとりと性器を重ね合わせる。

「ス、スンフン兄!つけないのか?!」

「昨日ちょうどなくなったんだよね。それに、つけない方が気持ち良い。ユファンは?そうじゃない?」

「えっ・・・そ、そりゃあ、生の方が断然いいけど・・・」

「じゃあ、いいよね?そのまま中に出すけど、ちゃんと後で綺麗にしてあげるから。気持ち悪かったら言って」

嫌も何も、たとえ『気持ち悪い』と言ったところでスンフンはやめないだろう。基本スンフンは意地悪で強引、最近はその傾向が顕著に出ている気がする。

獣のように犯される格好のまま、ユファンは絶頂の波に小さく身震いをした。抱いていたクッションを一層強く握り締めると、スンフンの身体も同じように微かに震えた。直後、耳元を熱い吐息が掠める。

中に吐き出された感覚がリアルに下半身を襲い、ユファンは崩れるようにベッドへと身を沈めた。さすがに若いユファンにとっても、連日の行為は身体が正直キツイ。

「大丈夫・・・?」

「・・・大丈、夫、じゃ・・・ない」

クスクスと笑う声が鼓膜を揺らす。粘液が擦れる音が僅かに聞こえたかと思うと、次に強烈な感覚が身体を襲った。

圧迫感がなくなると、今度はそこから何かが零れ落ちる。気持ちいいとは言えないその感触に、ユファンは知らず眉を寄せた。

「膝、たてて。かきだすから」

「やっ・・・!」

「もう何もしないから。そう・・・いい子だね、ユファン。後もう少しだから、我慢して」

「んん・・・っ」

太腿を零れた精液が伝う。思わず顔を顰めると、今度はそこを生温かい感触が這う。

自分で吐き出した物を舌で絡めとり、スンフンはユファンの身体を愛しげに撫でていく。最後にユファンの唇に口付けし、その身体をゆっくりと離した。

寂しくないようにとベッドの上にストームを残し、スンフンは約束通りバス・ルームへと向かったようだ。しばらくすると水音が聞こえ、ユファンは安堵したように小さく息をついた。

「・・・スンフン兄、この間から変だぞ・・・」

呟く声はストームしか聞こえていない。首を傾げ、ベッドに顔を押し付けているユファンの後頭部をじっと見つめる。

「だって、急に結婚しようだなんて・・・絶対、おかしいぞ」

髪から見え隠れする耳を見つめ、いつもより赤く熱をもったそこに舌を這わせる。

「指輪だなんて・・・」

スンフンが指輪を送った女性は過去に一人しかいない。本気で愛した相手にしかしない行為だからこそ、ユファンは更に困惑せざるをえない。

足音を立てずに2階へと上がれば、先程と全く変わらない体位のユファンがいた。伏せたままの顔を、長い髪が覆い隠す。

そっとその髪をかき上げ、露になったこめかみに口付けを落とす。シーツの波に泳ぐように伸ばされた手を取り、ゆっくりとぬくもりを分かち合うようにユファンの身体を抱き寄せた。

「ねぇ。ユファン、指輪は?」

先日自分が贈った指輪はどこへいったのか、ユファンの指にそれはなかった。部屋にいる時はいつもしているはずなのに。不思議に思い、スンフンはユファンの顔を覗き込んだ。

「指輪は・・・ジンに見つかったら怒られるから、隠したぞ」

「え?」

「ジンはスンフン兄が大好きなんだ。喧嘩したくないから、だから、ジンには内緒だ。ちゃんと認めてもらったら、改めてスンフン兄に嵌めてもらうんだ」

「そう・・・」

これもまた意外だ。だが、せっかくあげたのにと思うところもある。せめて二人っきりの時はつけて欲しいとお願いすれば、ユファンは考える素振りを見せた後にゆっくりと身体を起こした。

つまらなそうに足元で丸まっていたストームの頭を掴み、竦めた身体を少しだけ乱暴に引き寄せる。そしておもむろに転がすと、ユファンはストームの首へと手を伸ばした。

「ユファン、それはちょっと・・・」

「ん?ここなら絶対なくさないし、毛で隠れて見えないから安心だぞ。ジンはそんなにストーム抱かないからな、気が付いて捨てられる事もない」

「そうだろうけど・・・」

「ストームが守ってくれるから、心配しないで大丈夫だぞ」

首輪から銀の輝きを抜き出し、それをスンフンへと差し出す。苦笑を噛み殺しながら、スンフンは指輪をユファンの指に通した。

「ユファン、愛してる」

不思議と、何の抵抗もなく言葉が出た。僅かに触れる冷たい感触を弄びながら、ユファンの肩に口付けを落とす。

くすぐったそうに、照れたように。ユファンはスンフンの視線から逃れるように毛布に顔を埋めた。それでも、確かに繋がれた手がある。

「ねぇ、ユファン。僕の我が儘、もうひとつ聞いてくれる?」

ぴったりと隙間なく背中を抱き寄せられる。訝しむように頭だけ振り返れば、スンフンの真剣な表情が目の前にあった。

どうしたのだろうと思えば、その表情は一瞬にして変わった。いつもと変わらない笑みを浮かべ、ユファンの唇に自分のを重ねながら悪戯に囁いた。

「二人っきりの時は、『スンフン』って呼んで」



繋がれた手があるから。だから、一人じゃないって信じられる。

君が現れた過去、一緒に過ごす現在。それでは、未来は?



君だけの自分。自分だけの君。

なくさないように、ずっと手を繋いでいよう。昔も、今も、これからも。

ずっと、永遠に。 










Written .by minyuminyu
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