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Close your Eyes ep.97-3



HP『Sweet Drops』用に書かれた作品になります。原文のまま転記したので長文になります、ご了承ください。


今日はSHINHWAの結成日です、せんいるです、誕生日です~。
貴方達がいてくれて、私は過去も現在も未来も幸せでいっぱいです。大好きなSHINWAのみんな、せんいるちゅっかへ~♪












食後の休憩を挟み、4人は再び動き出した。先ほど指差したほうへとわき目も振らずに向かう。近づくにつれ賑やかな音と、たくさんの悲鳴にも似た声が聞こえてくる。

「…」

不思議そうにそれを見上げるチュンジェを覗き込み、ヴァネスはそっと微笑んだ。

「ジェットコースター、乗れそうか?」

「…うん。わかないけど、大丈夫だと思う」

確かに乗ったことがない人間に聞いたところでわからないだろう。とりあえずは試すしかない。4人は階段を登り、スタート地点へとたどり着いた。

見よう見まねで安全バーを装着し、前方を見つめる。その先には上へと続くレールが見えるだけ。どうなるのだろうかと考えているとゆっくりと4人を乗せたそれが動き出した。

手を振るスタッフをしばし見つめていると、不意に風が頬を撫でていった。

まず、その高さに目を見開いた。視界を遮るものが何もない空間。しかも足場はレールのみ。ガタガタと揺れるそれに知らずチュンジェはバーを握り締めた。

やけに心臓が喧しい。押し寄せてくるこの感覚がなんなんか、チュンジェにはまだわからない。足が震えだしたとき、唐突に衝撃が走った。

地面に真っ逆さまに落ちたかと思えばまた急上昇し、地上が頭の上に広がる。だんだんと平衡感覚がなくなり、呼吸さえ止まりそうになっていた。

時間にしたら2分ほどだろう。しかしそれはとてつもなく長かったようにも思える。ぐっと背中に押さえつけられるような感覚に続いて、今度は前へと押し出される。出発したその地点にいつの間にか戻っていた。

「チュンジェ?」

いつまで経っても動かないチュンジェを不審に思い、ヴァネスがその傍らへと歩み寄った。そしてその顔を見つめ、目を見開いた。
慌ててセーフティレバーを外し、動けずにいるチュンジェを抱き上げる。そして優しく背中を撫でた。

「怖かったな…。もう、大丈夫だからな?」

子どもに語りかけるかのように優しく言葉を紡ぐ。息を吸い込む音が聞こえたかと思うと、凍り付いていた身体が小刻みに震え始める。

異変に気づいて戻ってきたジンはその様子にぎょっと目を見開いた。青ざめた表情に震えるまつげ。そして頬には涙がこぼれていた。

「チュ、チュンジェ…っ」

どうしたらいいのかさっぱりわからない。動揺しながらも、それが自分の招いた結果だということはすぐにわかった。

「ゴ、ゴメン、なさい…っ。オ、オレが、無理やり…っ」

「ジンのせいじゃねぇよ。チュンジェだって乗る前はわかんなかったんだ。苦手かそうじゃないかなんて体験してみないとわかんねぇだろ?」

「で、でも…っ」

チュンジェにつられてか、それとも罪悪感なのか。次第にジンの瞳も潤み始める。慌てたようにジェジュンがその身体を抱き上げた。

「大丈夫ですよ、ジン兄さん。少し休めば、チュンジェ君もすぐ元気なりますから」

しかし、一度落ち込んでしまった心はそう簡単に立ち直ってくれない。ぎゅっと顔を隠すようにジェジュンへと抱きつき、ジンはこぼれる涙を感じた。

本当に今日が平日でよかった。こうして大の大人を、しかも同性を抱えていても見ている人間は少ない。近くにあったベンチへと腰を下ろし、思わずジェジュンとヴァネスは顔を見合わせた。

「チュンジェ、大丈夫か?」

先ほどは何も反応しなかったが今回は小さく頷く気配があった。どうやら少し落ち着きを取り戻したようだ。しかしまだ完全にというわけにはいかない。

「兄さん、ゴメンね…?僕は大丈夫だから、遊んできて…」

ようやくそう告げられたのはここに来てから10分後のことだった。しかし、チュンジェを置いてどこにもいけないとジンは頭を振るう。

それぞれに抱きかえられたまま、震える手をぎゅっと握り締めた。まるでそばにいるといってくれているようだ。その手を握り返し、チュンジェはまだぎこちないならもそっと微笑む。

忙しかった時間がいまだけはゆっくりと流れていく。チュンジェが顔を上げればジンもまたそれに倣うように顔をあげる。そして潤む瞳を見つめ合う。

「大丈夫…?」

「うん、大丈夫」

「ジン兄さん、チュンジェ君のために飲み物買いに行きましょうか?」

まだ震える声ではとても大丈夫とは言えない。けれど、ジンがそばにいると無理してしまう。少し時間を置いたほうがいいだろうと、ジェジュンはそう提案した。

離れたくはないが、チュンジェのためとなれば話は別だ。コクリと頷き、再びチュンジェを見つめる。

「チュンジェ、何がいい?」

「冷たい、お水がいいな…」

「うん、わかった。すぐ買って来るね?」

膳は急げと言わんばかりにジェジュンの膝の上から飛び降りる。そして手を取り、ふたりは飲み物を求めて歩き出した。

暗く沈んだ横顔。ジェジュンはそれを見つめ、かすかに微笑んだ。優しくて純粋で、心が脆い。人の痛みまで自分のものにしてしまう。その優しさは諸刃の剣のようだ。

「ジン兄さん」

そっと手を引き、物陰へと身体を忍ばせる。そしてジェジュンは俯くジンを優しく抱き寄せた。少しでも心が軽くなればと、人目を避けて何度も口づけた。

「チュンジェ君は大丈夫ですよ。だから、そんなに悲しまないで」

「だ、だって…」

「確かにチュンジェ君はジン兄さんの弟ですけど、同じ人間じゃありません。好き嫌いはその人にしかわからないんです。そして、それに気づけるのもその人だけです。だから、ジン兄さんが責任を感じることはないんですよ?」

それはその通りだ。しかし、それはふたりに通用するわけではない。同じ遺伝子を持つ、もうひとりの自分。それなのに何も気づけず、感じられなかったことがショックだった。

「それに…ジン兄さんがそんなに落ち込んでいたら、チュンジェ君が辛いです」

「…」

その言葉にピクリと身体が震え、弾かれたように顔が上がった。まだ少し涙に濡れた瞳。そして大きく頷き、でももう少しだけと甘えるようにジェジュンへと抱きつく。

擦り寄るジンに微笑み、ジェジュはそっと髪へと口づけた。

どれくらいそうしていたのだろうか。沈んでいた心が少しは浮上したようだ。そっと微笑み、指を絡めるように手を握る。

「お水~」

「そんなに急がなくても大丈夫ですよ」

「ダメ~。チュンジェ、待ってるもん」

グイグイと手を引くように進んでいく。ちょうどよく見つけた自動販売機で人数分の飲み物を購入し、小走りでチュンジェの元へと戻っていった。

さっきまではヴァネスのひざの上にいたチュンジェだが、いまはベンチの上。ヴァネスと肩を並べて座りながら、穏やかな微笑を浮かべていた。

「お待たせ~」

要望どおり冷たいお水を差し出せば、額へと当ててそっと息をつく。その心地よさに微笑みはさらに優しいものへとなっていった。

「ジン」

「う?」

振り返ればタバコを燻らせながらジェジュンから飲み物を受けとったヴァネスが煙に目を細めながら指差していた。その方向を視線で辿り、首をかしげる。

「チュンジェがあれ、乗りたいんだと」

指で示されたそこはゴーカート乗り場だった。小さな車がずらりと並べられ、運転者を待っている。目を輝かせたままチュンジェを振り返り、ジンは大きく頷いた。

「オレも乗りた~いっ」

そう笑顔で告げればどこか安心したようで、チュンジェの笑顔が幼くなっていく。

その様子を見つめていたジェジュンもまた微笑み、ちらっと窺うようにヴァネスを見つめた。そこには目を伏せ、かすかに微笑む姿があった。

どうやらヴァネスの入れ知恵のようだ。小さく嘆息し、ジェジュンはまるで鏡映しの顔を突き合わせて楽しげに話すふたりへと視線を戻した。

すっかり関係は元通り。先ほどまで少しぎくしゃくしていたのに、いまはその翳りもない。仲のいい兄弟がじゃれあっているようにしか思えなかった。

慌しく動き回っていた前半戦とは違い、それからの時間は落ち着いたものだった。ゴーカートを楽しみ、ジェットコースターは避けて次の乗り物へと向かう。

気がつけば辺りは暗くなり、遊び疲れたせいで車に乗り込むなりすやすやと穏やかな寝息が聞こえてくる。お互いにもたれかかるように眠るふたりを見つめ、ヴァネスとジェジュンはかすかに微笑んだ。

「しょうがねぇな…」

そうなると前の座席に座るしかない。行きは運転してきてもらったのだから帰りくらいはとヴァネスは運転席へと乗り込んだ。

「夕飯は…ふたりが起きたときにでも考えるか…」

「そうですね」

きっと起きる前に自宅へ着いてしまうだろう。けれど起こしてまで尋ねることではない。行きとは裏腹に言葉少ない、静かなドライブ。

いつもよりゆっくりと、眠りを妨げないように車を走らせる。規則正しく並ぶ街灯の光を窓越しに見つめながら、今日という日をふたりは心の中で振り返った。

「ヴァネスさん」

「ん?」

「いままで、すみませんでした」

唐突な謝罪に驚き、ジェジュンを振り返る。運転中だったことをすぐに思い出し、ヴァネスは視線を前へと戻した。

「なんだ?突然。気色悪ぃぞ」

「気色悪いって…失礼な人ですね。やっぱり、いまのは取り消します。聞かなかったことにしてください」

これまで目の敵にしてきた。その態度を振り返り、そして今日を振り返り、あまりにも大人気ない態度だったといまは思う。だから非礼を詫びたのに返ってきたのはひどい言葉だった。

すねたかのようにそっぽを向くジェジュンに微笑み、ヴァネスはタバコを取り出した。前方を見据えたまま器用に火をつけ、そっと紫煙を吐き出す。

窓を見つめていたジェジュンの横顔がかすかに緩む。それと同じくして、ヴァネスもまた微笑んだ。

きっと、これくらいの距離がいい。ふたりは声に出さず、そう心の中で静かに思った。










続く。
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