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Close your Eyes ep.98-1



HP『Sweet Drops』用に書かれた作品になります。原文のまま転記したので長文になります、ご了承ください。












本当はね、本当は、僕はもっと君と一緒にいたいんだ。

そう思うのは、僕のワガママかな…?



いつものように前触れもなく、彼は突然やってくる。晴れて恋人になってから、最初の休日。いろいろと計画を練っていたのだが、すべて霧散してしまいそうだ。

しかし、それでも構わない。彼もまた、変わらず大切な人。普通の友だちならば追い返すだろうが、彼にこと関してはできない。

「チュンジェ、一緒に行こ~」

話題は3日後に迫った渡米。毎月1回、期限は1週間。それは義務付けられた里帰りだった。

しかし、独りでは決められない。チュンジェは窺うようにちらっとヴァネスを見つめた。吐き出した紫煙に目を細め、ヴァネスは優しくその頭を撫でた。

「行ってくれば?ジンにとっての父親ならお前にとっても父親だろ?」

血のつながりは一切ない。しかし、ジンにとっては大切な父親だ。そしておそらくチュンジェにとってもそうなるだろう。

いろいろと思うところはあるが、ふたりにとってまだ父親は必要な存在のように思えた。身体は立派な大人だが、まだ心は子どもだ。成長する上で不可欠だ。

ヴァネスの意見に小さく頷き、チュンジェはジンへと視線を戻した。

「一緒にいって迷惑じゃない?」

「当たり前だよ~」

寂しいと思うことはあるが、迷惑だなんて思ったこともない。力説するジンに微笑み、チュンジェは小さく頷いた。

はしゃぐジンに自然と笑みが浮かぶ。ひとしきりはしゃいだ後、用は済んだと言わんばかりにジンは立ち上がった。

「じゃあ、3日後ホンマンとお迎え来るね~」

「うん、待ってる」

「もう帰んのか?」

驚いたのはヴァネスだ。てっきり、このまま居座るものだと思っていた。

「うん。これからお仕事なの~」

それでこの荷物かと、脇においてあった大きなカバンを見つめた。それならば電話で済ませればいいのにと思ってしまう。しかし、ジンにしてみればたとえ数分でもチュンジェに逢いたかったのだろう。

「あ、あとね、今度ヘソン兄貴がバイト紹介してくれるって~」

「ホント?」

「うん。とりあえずは大検受けて、それからね~」

着々と夢に向かって進んでいく。嬉しそうに頷くチュンジェに微笑み、ヴァネスはタバコを灰皿へと押し付けた。

「そうだ!アメリカにお勉強道具持ってきなよ~。お父さんもお医者さんだよ~」

「そうなの?」

「畑は違うけどな」

どういうことだろうかと首を捻る。しかし、ジンはそれに気づかないまま時計へと視線を落とした。すでに11時を過ぎている。このままでは遅刻してしまうと、慌しく部屋を出て行った。

「えっと…その、人はなんのお医者さんなの…?」

まだ父と呼ぶにはおこがましいような気がした。かといって、他になんと呼んでいいのかもわからない。考えすぎたゆえの不自然な呼び方。かすかに微笑み、ヴァネスはチュンジェの身体を抱き上げた。

「精神科医だな。かなりのやり手みてぇだ」

一口に医者といっても様々な分野がある。ヴァネスは外科、ジフンは内科、そしてスンフンは精神科。どうするかは大学にいってから決めようと思っていたが、最近はだいぶ心が決まっていた。

「僕、ヴァネスがいいな…。外科の看護士さん」

悪い気はしない。しかし、そう簡単に決めていいものでもない。向き不向きというのがどうしても出てきてしまう。若干、おっとりしているチュンジェには慌しい科は向かないだろう。

「まぁ、後々な。いろんなトコ研修行ってみて、それから考えたほうがいいぞ?」

「うん」

「でも、できるんならチュンジェと一緒に働いてみてぇな」

目を閉じて、ともに働く姿を想像する。それだけで心があたたかくなっていくようだ。

「僕、頑張るね?」

「ムリはすんじゃねぇぞ?」

「うん」

いつもそう。無理をするなという。その優しさにチュンジェは微笑み、そっとヴァネスへと抱きついた。

ヴァネスのいない時間がチュンジェにとっては勉強時間だ。だから、ヴァネスが休みの日は自然とチュンジェも休みの日となる。

前回は慌しい休日だったこともあり、今日はのんびりと過ごそう。そう話したのが昨晩のこと。ふたりで朝寝坊していたところにジンが飛び込んできた。

「とりあえず…シャワー浴びて、メシにすっか…」

「じゃあ、先に浴びてきて。その間に何か作っておくから」

「それじゃ、お前の休みになんねぇだろ?」

まったく、と思わず息をつく。一生懸命なのも、健気なのもいいことだが、少しは自分を大切にして欲しいものだ。

首をかしげるチュンジェにそっと口づけ、ヴァネスは身体を抱きかかえたまま立ち上がる。

「まずは一緒にシャワーだな。んで、出てきたらどっかメシ食いにいくぞ」

口づけを交わしながらバスルームへと向かう。こぼれる熱いと息に触れ、ヴァネスはもう一度唇を寄せた。

なぜなのだろうか…。

頭の片隅で考える。ジンとともに過ごしていたときは、時間に追われるかのように焦っていた。もちろん時間が限られているせいだと言い切れなくもないが、あまりに貪欲だった。

1分1秒でも長くひとつでありたいと願った。しかし、相手がチュンジェとなった途端鳴りを潜め、ただ穏やかに流れる時間に心が満たされていく。

ただ、そういった思いがまったくないわけではない。薄くともやはり、そういった思いがある。

何度も飽きることなく口づけを交わし、彼とは違って傷ひとつないその肌に触れる。ささやかな動きにも敏感なほど身体を震わせるチュンジェに微笑んだ。

「ヴァ、ヴァネス…っ」

「ん?」

いつもとは違う余裕のない、上ずった声。普段は眠っているその感情が目を覚ましていくようだ。そんな気はなかったはずなのに、妙に身体が疼いてしまう。

「…っ」

触れられている箇所から熱が広がっていく。しだいにそれは全身を埋め尽くし、自由すら蝕んでいくようだ。手も、足も、声も、すべて思い通りに働かない。

おかしくなってしまう…。

助けを求めようにも、どうしたらいいのかさっぱりわからない。初めての感覚に翻弄され、声を詰まらせた。

「…?」

反応がおかしい。ふと気づいたヴァネスは少しだけ身体を離した。顔は耳まで真っ赤になり、目じりには涙が浮かぶ。そして必死に何かに耐えるかのように、震える手で服を掴んでいた。

「お前、もしかして…」

思わずそう呟くと、濡れた瞳がゆっくりとまぶたの裏から現れた。困惑と動揺が混在した瞳。離れた分だけ身体を寄せ、チュンジェは顔を隠すように抱きついた。

「だ、大丈夫…。したコトないけど、知ってるから…」

それがどういう行為なのか、頭の中にはある。しかし、知識で得たものと実際体験するものはだいぶ違う。頭ではわかっていても心と身体がついていかない。

「それに…するなら、ヴァネスがイイ…」

耳元で告げられたその言葉。それは見事に最後の鍵を外した。ドクドクと心臓が激しく脈打つ。身体の内側が燃えるように熱くなり、滾ったものが全身を猛スピードで駆け回っていく。

これ以上は止めようと思っていたのに、もうその思いも残っていない。堪えていた分だけ、沸騰までの時間は短かった。

「マジで、言ってる?」

「…うん」

もしここで言葉を詰まらせたなら、この先はなかっただろう。目的地はバスルームから寝室へと変更された。まだ整えていないベットに身体を沈ませ、深く唇を重ねる。

「チュンジェ…」

何度もこの場所で呼んだ名前。しかし、この腕の中にいるのは別人だ。こぼれる声も、感じる場所も同じ。ただ、少しぎこちない。その新鮮な反応に欲望は肥大していく。

いままで我慢してきたのだから、もう少しくらい…。そうは思っても、身体は言うことを聞いてくれない。これ以上、待つことはできなかった。

「悪い、ちょっと痛いかもしんないけど…我慢できるか?」

そう問いかけたのは最後の理性。せめて、少しでも痛みが和らげばとそう告げた。意識している痛みと無意識に生ずる痛みでは同じ痛みでもその度合いが違う。痛いことをされる。そう認識していれば、少しは楽なはずだ。

浅く開いた口で苦しげに呼吸を繰り返しながら、チュンジェは小さく頷いた。辛いだろうに、微笑まで浮かべてくれる。その仕種に胸が締め付けられるようだった。

しかし、もう止めることもできない。ゴメンの代わりに口づけ、震える足を抱えあげる。そしてピンク色の蕾へと屹立した自身を押し付けた。

「ちゃんと、つかまってろよ…?」

頷く代わりに震える手が背中へと回る。それを確かめ、ヴァネスはゆっくりと鎮めていく。苦悶に歪む顔。目じりからは涙がこぼれ、痛みに耐えるように唇をかみ締めていた。

「チュンジェ、愛してる…」

無意識にこぼれた言葉。痙攣するようにまぶたが震え、苦痛に耐える瞳が姿を現す。そしてチュンジェはぎこちないながらも微笑んだ。

「僕、も…好き…」

掠れた声で告げられた想い。苦しいだろうに、痛いだろうに、そう囁く。汗で額に張り付いた髪をそっと手のひらでのけ、そこへと優しく口づける。

想いが通じ合えば、この行為が持つ意味も変わる。いつもなら目に見えない幸せがそれぞれの目の前に具現化しているようだった。

どれだけ言葉にしても、この想いの1%にも満たない。それでも伝えたい。その一心でヴァネスは何度もその言葉をチュンジェへと捧げた。










続く。
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