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Close your Eyes ep.98-4



HP『Sweet Drops』用に書かれた作品になります。原文のまま転記したので長文になります、ご了承ください。












ジンとチュンジェは部屋へと戻り、それぞれのことに没頭していた。チュンジェは勉強に、ジンは読書にと夢中のようだ。気づけばすでに昼過ぎ。扉を開けばふたりは同時に顔を上げた。

「お父さん」

見事にふたりの声が重なり合う。スンフンはそっと微笑み、駆け寄ってきたふたりの頭を撫でた。

「お待たせ、退屈しなかったかな?」

「うん」

「それはよかった。じゃあ、お昼に出かけようか?シウォンが外で首を長くして待ってるよ」

治療中だというのにひっきりなしに届いたメール。患者が退室して携帯電話を覗いてみればすべて彼からのメールだった。よほどチュンジェがお気に召したようだ。

「チュンジェは何が好きなのかな?今日の主役だから、チュンジェの食べたいものを食べに行こう」

「食べたいもの…」

取り立ててそういったものはなかった。これが好きというのもない。意見を求めるようにジンを見つめ、チュンジェは小さく首をかしげた。

「チュンジェが食べたいもの、なんでもイイよ~?」

「よくわかんなくて…兄さん、代わりに決めて?」

ここまで違うものかと、スンフンは心の中で呟いた。確かに最初のころはジンもあまり自分の意見を言わなかったが、これとは違う。言わないのではなく、拘りがないようだ。

やはりクローンでも育った環境が違ければ趣味趣向はもちろん、性格も異なるようだ。当然といえば当然だ。一卵性双生児で、幼くして離れ離れになった兄弟と言ったところだろうか。

「お父さん?」

「ゴメン、ゴメン。ちょっとぼうっとしちゃったみたいだ」

そういっているそばから催促のメール。スンフンはため息をこぼし、しょうがないやつだと苦笑を滲ませた。

「とりあえずシウォンのところへ向かいながら考えようか?」

「うん」

そしてふたりはスンフンの後に続き、いつものように手を繋いで歩き出した。その間にも何を食べようかと相談しあう。しかし、シウォンの元にたどり着いてもまだ結論は出ていなかった。

「じゃあ、僕に任せてくれるか?いいお店を知っているんだ」

今度ボアと一緒に行こうと思っていた店。落ち着いた雰囲気にアンティークな店内。料理も申し分ない味だった。しかも、値段が手ごろだ。下手に要望を聞くよりも安全だった。

少しランチタイムからずれていたおかげで、すぐに席へと通された。それぞれにメニューを眺めながらどれにしようかと頭を悩ませる。

「兄さん、決めた?」

「うん。オレ、コレにする~」

どうやらコース料理のようだ。ランチという感じの量ではない。さすがにそこまでは食べられないような気がして、チュンジェは再びメニューへと視線を戻した。

「じゃあ…僕、これにする」

一番量の少なそうなパスタランチ。サラダとスープとパスタ、それにドリンクがセットになったものだった。これくらいならばなんとか入るだろう。

タイミングよくやってきた店員にオーダーを告げ、シウォンは興味深げにチュンジェを見つめる。その視線にチュンジェは少し戸惑っているようだった。

「あんまりチュンジェのコト見ないでよ~っ!怯えてるでしょっ」

威嚇するように睨みつけ、チュンジェをぎゅっと抱きしめる。ジンなりに一生懸命守っているのだろう。ほほえましい光景だとスンフンはミネラルウォーターを口へと運んだ。

「失礼。あんまり似てるものだから、違うところを探してたんだ。しかし…本当にそっくりだな。まったく見分けがつかないぞ?」

乗り出していた身を引き、さりげなく視線をスンフンへと移す。シウォンの言葉にスンフンは薄く微笑んだ。言葉にも態度にも表さないが、スンフンもまたいまのところ見分ける手段がない。

「ほら、料理が運ばれてきたよ?」

はぐらかすようにそう告げればジンが目を輝かせて店員を振り返った。行動を見れば一目瞭然だ。おとなしいチュンジェに対して天真爛漫なジン。しばらくはこうやって判断していくしかないだろう。

早速スプーンへと手を伸ばし、熱々のスープを冷ましながら口へ運ぶ。おいしそうに目を細め、サラダへと手を伸ばした。

チュンジェもまたそれに倣い、スープへと手を伸ばす。一口、それを飲めばチュンジェの瞳がわずかに輝いた。

「おいしい…」

「そうか?それはよかった」

初めて口にするスープ。そのおいしさにみるみるスープだけがなくなっていく。あっという間にペロリと平らげてしまったチュンジェは少しだけ寂しそうにジンの手元にあるスープを見つめた。

「チュンジェ」

いち早くそれに気づいたのはスンフンだった。まだ手付かずのスープを差し出してみれば幼い笑顔がこぼれる。他の料理も忘れて夢中でスープを飲む姿にスンフンはそっと微笑んだ。

「相当スープが気に入ったみたいだね?」

一口も食べていないので味はわからないがさぞかしおいしいのだろう。今度来たときにはちゃんといただこうと思いながら、スンフンはサラダへと手を伸ばした。

「ジン、ちゃんと噛んで食べるんだよ?」

「ふぁ~い」

最近では野菜を食べるようになったが、一時期のジンは肉類しか受け付けなかった。ボアのおかげで野菜嫌いを克服し、いまでは生野菜も進んで食べる。いまもまた、残るはメインのステーキのみとなっていた。

相変わらず気持ちいいくらいの食べっぷりだ。反してチュンジェはスープ2人前でお腹が膨れてしまったようで、パスタ残り半分を前に動きを止めていた。

「無理に食べなくても大丈夫だよ?」

そう声をかければ安心したように微笑み、フォークを下ろした。そして窺うようにジンを見つめる。きっとジンならば食べてくれるだろうと、少しだけお皿をジンの方へと寄せてみた。

「食べていいの~?」

「うん」

「ありがと~」

嬉しそうにそれを受け取り、ぺろりと平らげる。そして残っていた大きなステーキの一切れを口へと放り込み、味わうように租借した。

「どうだ?おいしかったか?」

「うん、おいしかった~」

「デザートもあるぞ?」

そう誘ってみれば目を輝かせ、メニューへと手を伸ばす。デザートの項目を見つめながらどれにしようかと悩んでみる。しかし、どうしてもひとつには絞れない。

「ひとつじゃなくてもイイ~?」

「もちろんだとも。好きなだけ食べていいんだぞ?」

「やった~っ」

嬉しそうにそう告げ、店員を手招く。そしてケーキを3種類注文し、うきうきとした様子で運ばれてくるのを待っていた。

その様子を眺めながらスンフンはちらりとシウォンを見つめた。そして心の中でまったく、と呟く。

甘いものが苦手なシウォン。どれだけおいしいと有名なデザートを食べてもコメントは”甘い”というだけ。甘いもの好きな恋人のため、ジンに味見をしてもらおうという魂胆なのだろう。

しかし、ジンが喜んでいる以上水を差すわけにはいかない。気づかぬふりで視線を逸らし、チュンジェへと顔を向けた。

「おいしかった?」

「うん、おいしかった」

「じゃあ、また今度来ようね?」

本当に素直ないい子だ。笑顔で頷くチュンジェの頭を撫で、スンフンはそっと微笑んだ。

ジンから一口ずつケーキをもらい、目を細める。どうやら甘いものは好きらしい。これでボアも一安心だろう。ただ、胃袋はかなりジンより小さいようだ。食事へ招待する際には気をつけなければなさそうだ。

近々、必ず招待しようと目論む。自動的にジンもついてくるだろうが、それはそれで構わない。ボアがいればジンも素直ないい子に変貌するからだ。

「なに企んでるの?」

「ん?企むなんて人聞きが悪いな…。単に家へいつ招待しようかと考えていただけだぞ?きっとボアが喜ぶだろうからな」

「ボアちゃん~っ」

その名前に敏感なほどの反応。嬉々とした表情でその名を呼ぶ。ジンがその気になれば自動的にチュンジェもついてくる。計算通りだ。

思わずほくそ笑めば、白い目でスンフンが脇からじろりと睨んでいた。なにを言われようが、ジンとチュンジェが決めた以上スンフンはどうすることもできない。案の定、諦めたようなため息が聞こえてきた。

「お父さん、ボアちゃんのトコ遊びに行ってもイイ~?」

ここで感情を表に出してはいけない。いつものように微笑み、スンフンは頷いた。

「ボアちゃんの言うことをちゃんと聞くんだよ?」

「うんっ」

早速明日にでも遊びに行くつもりのようだ。出勤前に送り届けて、仕事が終わったら迎えに行けばいいだろう。そう心の中で大まかな計画を立てた。

そうして職場へと戻り、残っていた仕事をこなす。定時きっかりに仕事を終えたスンフンはふたりを伴って自宅へと向かった。

長旅で疲れているだろうと、いつものようにデリバリーで食事を済ませる。そして昼寝をしなかったことから睡魔に襲われているジンとチュンジェを連れて2階へと向かった。

規定サイズのダブルベット。ふたりで眠る分には不便ないがさすがに3人だと手狭に感じる。しかも真ん中はまったくといっていいほど自由がない。

キングサイズのベットかもしくは特注品が必要になりそうだ。横たわりながらスンフンは今度買いに行こうと心に決めた。

「お父さん、子守唄~」

「今日は何がいいのかな?」

「んとね…日本のうた、歌える~?」

珍しい注文にジンを振り返る。重たいまぶたをこすりながらそれでも子守唄をご所望のようだ。子守唄の意味合いがない気がするか、願われたならば歌わないわけにはいかない。

「オレね、いま日本語勉強中なの~」

「偉いね。ジェジュン君のためかな?」

「うん」

仕事で役立つというのもあるが、一番の目的はコンサートでどういう話をしているのか理解するためのもの。覚えればボアの友達とも不自由なく話せるし、いいこと尽くめだ。しかも、スンフンが褒めてくれたとなれば完璧にしたい。

「じゃあ…僕の一番好きな曲を歌おうかな?さぁ、目を閉じて」

反対側で黙ってやり取りを聞いていたチュンジェもまた言われるまま目を閉じる。すると聞こえてくる優しい歌声。自然と寝顔に微笑が宿る。そして意識は緩やかに下っていった。










続く。
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