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Close your Eyes ep.98-5



HP『Sweet Drops』用に書かれた作品になります。原文のまま転記したので長文になります、ご了承ください。


予告もなく半月ほどお休みしました。申し訳ありません・・・。3月の人事異動、4月の新人オリエンテーションの準備等・・・多忙でした。何故か最近は左の足の甲が痛くて、これなんとかならんかなーが悩みです。
ストレスも酷く、第二の趣味にしたラインストーン(時折スワロフスキー)デコを黙々としていました。
少し元気になってきたので、更新を再開して続けていきたいと思います。












午前6時半。きっちりといつもどおりに目を覚ます。ただいつもと違っていたのは、じっとこちらを見つめる2対の瞳が真上にあることくらいだろうか。

裸眼だとほとんど見えないが、それでもふたりが自分を見ていることはわかる。

「おはよう、ジン、チュンジェ」

身体を起こし、その頬にそっと口づける。ジンにとってはいつものことだが、チュンジェにしてみれば初めての体験。少し恥ずかしそうに頬を赤らめ、おはようと朝の挨拶を返す。

「さて…シャワーを浴びて朝食にしようか?」

「うん」

めがねを着用しそう促す。ジンはスンフンとチュンジェの手を引き、颯爽と階段を下りていった。しかし、ベットと同様、大の大人3人
ではバスルームも狭い。どうしようかと悩んではみたが、それは無駄のようだ。

「お父さん、チュンジェ早く~」

いち早く服を脱ぎ、バスルームへと駆け込んでいく。脱衣所に残されたふたりは一瞬だけ顔を見合わせた。

「ジンも呼んでいることだし、僕たちも行こうか?」

そう誘えばチュンジェは恥じらいながらも小さく頷いた。時折窺いながら、服を脱いでいく。そして狭いバスタブに身を寄せ合いながら浸かった。

なんとも窮屈なバスタイムだ。でも、ジンはどこか嬉しそうだった。ジンが嬉しいのならば、チュンジェも嬉しくなる。互いに背中を流し合い、最後はスンフンの身体を洗う。

そこだけをみれば本当の親子になったようだった。バスルームを出たふたりはスンフンに髪を乾かしてもらい、キッチンへと向かう。

ジンがスンフンのためにコーヒーを入れて差し出せば、チュンジェがジンのためにコーヒーを入れる。

仲のいい兄弟だ。気づけば素直にそう思っていた。深く考える必要はない。ふたりは同じ容姿をしているが、別個の人間だ。双子と考えるのが一番いいだろう。

新聞を見ながら、合間にキッチンへ並ぶふたりを見やる。楽しげになにやら会話しながら作り上げていく料理。日課である新聞を読み終えるころにはテーブルの上に朝食が並べられていた。

「お父さん、お待たせ~」

新聞を折りたたみながら、共作の朝食を見遣る。どれもおいしそうだ。

「今日も朝からご馳走だね」

「朝はちゃんと食べないといけないんだよ~。ジフン兄貴がいつも言ってるもん」

「ヴァネスも言ってる」

いい教育だ。声には出さずにそう呟き、そっと微笑む。そして両手を合わせ、スンフンはいただきますと告げた。

賑やかで楽しい食事。やはり、チュンジェの食は少し細いようだ。この年齢の平均から考えても低いと推測される。おそらく、自分よりも少食だろう。

「もういいの?」

「うん、お腹いっぱい」

残らず平らげたものといえばコーンスープくらいだろうか。そのほかは少量ずつ残っている。昨日と同じように残っていたそれらはすべてジンの胃袋へと収められていった。

しばしの休憩を挟んで朝食の後片付け。そしてふたりはスンフンの車へと乗り込み、昨日の約束どおりボアの家を訪れた。

今日はジンが来ると、シウォンから聞いていたボアはなんの躊躇いもなくオートロックを解除した。もしそこでモニターを見ていたなら気づいただろうが、生憎と見過ごしてしまったようだ。

ソファの上に座ったシウォンがいつになく楽しげな様子で微笑んでいる。それすらもきっとジンが遊びに来るからだろうと思い込んでいた。

再び、今度は玄関のインターホンがなる。パタパタとスリッパを音立てながら、ボアは玄関の扉へと手をかけた。

「おはようございます、ジン兄さん。お元気でしたか?」

「う、うん…」

「さぁ、どうぞ。朝ごはんはもう食べられましたか?」

本当に気づいていないようだ。問いかけられたチュンジェは戸惑いながらも小さく頷いた。その後ろ、背中に隠れているジンがかすかに笑う。騙すのはよくないと思いながらも、訂正する糸口も見つからない。

とりあえずと誤解されたまま中へと進めば、ソファの上には昨日知り合ったばかりの人。最初は怖い人だと思ったが、いまはそういった感情はない。

「おはようございます」

「おはよう。昨日はよく眠れたかな?」

彼はちゃんと区別がついているようだ。チュンジェは安心したように微笑み、まだ背中に隠れているジンを振り返った。

いつまでこうしていればいいのだろうか。首をかしげるとジンは楽しげな笑顔のままキッチンへ向かうよう促した。そこには先ほど迎え入れてくれたボアがいる。

驚かせるまでこのかくれんぼは続くようだ。その様子を眺めながらシウォンもまた楽しげに微笑む。どういう反応をするのだろうかと、呼んでいた新聞を綺麗にたたんでテーブルへと下ろした。

「ボアちゃ~ん」

「はい?」

チュンジェの背中からいつものようにジンが名を呼ぶ。振り返ったのを感じ取り、ジンはひょっこりと肩から顔を出した。

きょとんとした幼い表情。大きな瞳が何度もまぶたの裏に隠される。

「…」

ジン兄さんがふたりいます…。ボアは心の中でそう呟いた。どうやら幻覚ではないようだ。いつも見せる幼い笑顔と少し戸惑いを含んだ微笑。同じ顔なのにその表情は明らかに違っていた。

「は、初めまして。弟のチュンジェです」

「こ、こちらこそ初めまして。ご挨拶が遅くなってしまってごめんなさい。ボアです。よろしくお願いします」

礼儀正しいふたりは深々と頭を下げ合う。その様子にジンは少しだけつまらなそうに唇を尖らせた。

「もっと驚くと思ったのにな~」

「あれでも充分驚いてるぞ?」

「そうなの?」

シウォンの言葉に再びボアを見つめてみるが、そんな様子はない。もう一度確かめるようにシウォンを振り返れば楽しげな笑顔があった。

「きっといまボアの頭の中はお昼をどうしよう、だな」

驚きたいのは山々だが、目先のことに頭はいっぱいだ。昨日のうちに買出しはしておいたが、通常のふたり分とジンの分しか用意していない。

「お昼、楽しみ~っ」

そういうことを言いたいわけではなかったが、それはそれでジンらしい。かすかに声を立てて笑い、シウォンは挨拶を終えてやってきたチュンジェを見上げた。

「挨拶は終わったかい?」

「うん。すごく可愛らしい人だね」

ふわりと花のように微笑み、惜しげもなくそう賞賛する。恋人をそう言われて、喜ばないはずもない。シウォンは満足げに笑った。

少しだけ頬を膨らませ、そっぽを向く。するとその視界の隅に飛び込んできた姿。一瞬にして目を輝かせ、跳ねるように立ち上がる。

「レイン~っ」

寝室の扉からひょっこりと顔を出したその姿。チュンジェは驚き、小さく首をかしげた。

「兄さんのところにいる子犬とそっくり…」

「あぁ、彼女はジンのトコにいる犬たちのおばあさんにあたるからな」

「僕も見てきていい…?」

チュンジェを置いてさっさと寝室へと向かってしまったジン。しかもちゃんとこの家の主と認めているようで、シウォンにそう許可を求める。

本当に可愛い子だ。

変な気持ちなど一切ないが、素直にそう感じてしまう。優しく微笑み、そっと髪を撫でる。

「もちろんだとも。きっとレインとクラウドも喜ぶぞ?」

そう告げれば安心したように幼い笑顔が浮かぶ。そしてチュンジェはジンの後を追いかけるように寝室へと向かった。

寝転がったまま振り返ったジンはチュンジェを認め、笑顔で手招く。誘われるまま歩み寄り、チュンジェはおとなしい2匹へと手を伸ばした。

「かわいい…」

「うん、可愛いし~、お利口さんだよ~。いつかはうちのチビたちもこの子たちみたいにいい子になってくれるとイイな~…」

まだイタズラばかりの2匹。ミヌやヘソンがしょっちゅう怒っている姿を見る。半年くらいでイタズラは落ち着くといっていたが眉唾物だ。もしかしたらこのままかもしれないと最近思い始めた。

「チュンジェ、あとでレインのお散歩行こうね~?」

「うん」

しばらく2匹と遊んでいたチュンジェだったが、ジンがお昼寝を開始すると静かに寝室を後にした。起こさないようにと忍び足でリビングへと戻っていく。

「どうした?」

「兄さん、寝ちゃったから起こすの悪いかと思って」

そう笑顔で告げ、シウォンの斜向かいへと腰を下ろす。何をしようかと考えてみたが、取り立てて何もない。それならばとチュンジェはカバンを引き寄せながらシウォンを振り返った。

「お勉強してもいい?」

「あぁ」

今年大検を受けるということはスンフンから聞いていた。なんとなくもったいない気もするが、邪魔をするのも可哀想だ。微笑を浮かべたまま頷けば、チュンジェはいそいそと勉強道具を取り出した。

問題集を中心に進んでいく勉強。しばらくシャーペンが止まっているのに気づき、シウォンはそっと身を乗り出した。

「わかんない問題でもあったのか?」

「うん。ここなんだけど…」

いつもならジンかヴァネスに聞くところだが、生憎いまはふたりとも不在だ。後回しにして次の問題へ進もうかとも考えてみたが、やはりこの問題が気にかかる。

「これはだな…」

懐かしい問題だ。高校時代を思い出す。ソファからフローリングへと腰を移動させ、シウォンはわかりやすく噛み砕いて説明していく。真剣な顔でそれを聞き、チュンジェは言われるままシャーペンを走らせた。

どれだけ考えても解けなかった問題。しかし、理屈さえわかれば答えまではあっという間だった。

「簡単だろう?」

小さく頷き、シウォンを振り返る。そしてチュンジェは幼い瞳でシウォンを見つめ、ゆっくりと口を開いた。

「お父さんみたい…」

一瞬、驚きに目が見開かれる。しかしそれはすぐに笑顔へと摩り替わった。親が子どもにそうするように頭を撫で、その輝く瞳を見つめ返す。

「チュンジェさえ良ければ僕のことも”お父さん”って呼んでくれていいんだぞ?」

「ホント…?」

「もちろんだとも。僕もチュンジェのような可愛い息子なら欲しいと思っていたんだ」

それは素直な気持ちだった。告げれば見事な笑顔が浮かぶ。ジンではこうはいかないだろう。ぎゅっと抱きつくチュンジェを優しく包み込み、シウォンは幸せをかみ締めるように微笑んだ。









続く。
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