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Close your Eyes ep.98-8



HP『Sweet Drops』用に書かれた作品になります。原文のまま転記したので長文になります、ご了承ください。


盛大に風邪をひきました・・・。更新出来ず申し訳ありませんでした。
今もまだガハゴホしていますが、今日も夜勤なので仕事に行きます。頑張るぞー!












翌日もまた午前中から行動は開始された。待ち伏せしようと柱に身を忍ばせ、彼がやってくるのを待つ。始終楽しそうなジンにチュンジェもまたつられて微笑んでいた。

学校へ吸い込まれていく人々を見送りながらひたすらに彼がやってくるのを待つ。30分ほどそうしていただろうか。見知った顔がようやく姿を現した。

「来た~っ」

「どの人?」

屈んだ自分の真上。笑顔をこぼすジンを見上げれば、こっそりと指がこちらへ歩いてくる青年へと向けられた。

四次元の胃袋を持つと聞いていたから巨漢を想像していたのだが、どうみてもひょろ長いというイメージしかない。本当にそんな胃袋を持っているのだろうか。

「チュンジェ、立って~」

「うん」

腕を引かれるまま立ち上がれば、ジンが背中へと隠れる。昨日と同じように、いきなり現れて驚かせるつもりなのだろう。

「ユファン」

背中越しに少しだけ声を張り上げる。先ほどの青年がピタリと足を止め、振り返った。ふたつの瞳はチュンジェを見つめているのに、不思議そうに首をかしげる。そして何かを探すように視線を彷徨わせた。

もう一度呼びかけてみても同じことの繰り返し。距離にして3mくらいだろうか。しかし何度やってもユファンはチュンジェに歩み寄ることはなかった。

「あれ~…?」

本当に気づいていないようだ。根負けしたジンがチュンジェの後ろから顔を出すと、ユファンはようやく声の持ち主を見つけたといわんばかりにジンへと歩み寄った。

「ジン、久しぶりだぞ。何してんだ?」

「何って、ユファンに逢いに来たんだよ~。チュンジェの紹介もしたかったし」

「チュンジェ?」

ジンから視線を横へとずらし、先ほどからこちらを見つめていた青年を見つめ返す。

「誰だ?」

「だから、チュンジェだってば~。オレの弟なの~。そっくりでしょ~??」

そう言われ、改めてふたりを交互に見る。しかしユファンは理解できないようで眉根をひそめ、首をかしげた。

「どこがだ?全然違うぞ」

「えっ!?」

驚いたのはジンだった。チュンジェをこちらに向かせ、見慣れたはずのその顔を注意深く見る。しかし、何度見返してみても鏡写しのようにそっくりだ。

「似てるよ~っ!みんな間違えるもんっ」

そうなるとおかしいのは自分ということになる。たまたまタイミング悪くやってきたジュノを捕まえ、ふたりの前に立たせてみる。眠そうな目がゆっくりと開き、ジンとチュンジェを交互に見つめた。

「ふ、双子…?」

「オレとチュンジェ、似てるよね~?」

「似てるもなにも…同じじゃないですか…」

どこか相違点を探そうと思ってくまなく観察してみてもすべてが一緒だ。じっと目を凝らしてみても違うところは何ひとつない。

「そうなのか?」

納得がいかないといわんばかりに腕を組み、しかめっ面でふたりを交互に見る。ジンとチュンジェは顔を見合わせ、小さく首をかしげた。

「クイズするの~」

そう提言し、ジンはユファンを後ろへと向かせて立ち居地を入れ替えた。そして再びユファンを振り向かせた。迷うことなくジンを指差す。何度やっても同じだ。他の人間にはさっぱり区別つかないが、ユファンだけはできるようだった。

「なんで~?なんで~??」

理由を尋ねてみても、ユファンに答えられるはずもない。それに最初からそっくりではないと言っているのだからこれ以上説明のしようがなかった。

せっかくのドッキリ企画も失敗に終わり、ジンは少しだけつまらなそうに唇を尖らせていた。しかし、チュンジェにしてみれば初めて遭遇した驚くべきことだ。帰ったらヴァネスに報告しようと微笑む。

「このまま病院でいいのか?」

車に乗り込んだはいいが、行き先はわからないまま。しばらくは黙っていたホンマンだったが、さすがに痺れを切らしたようでそう問いかけた。

「あ、ゴメンね~。病院で大丈夫~」

「わかった」

ようやく大学の前から動き始めた車。その中でジンは隣に座るチュンジェを振り返った。

「チュンジェ、オレちょっと行かなきゃいけないトコあるから、お父さんのところで待っててくれる~?」

「うん。お勉強しながら待ってる」

「ゴメンね…?」

勝手に連れてきた上に、待っていろとは酷い話だ。スンフンがいるから寂しいということはないと思うが、それでもやはり不安がないわけではない。

「大丈夫、心配しないで。でも…やっぱり兄さんがないと寂しいから、早く帰ってきてね…?」

「うんっ!超特急で帰ってくる~」

小指を絡めあい、約束を交わす。そして病院へつくまでの間、ずっと手は繋がれたままだった。

病院へ到着すると、ゆっくりその手は離れていく。車から降りたチュンジェは窓から見上げるジンにそっと微笑んだ。

「気をつけてね?」

「うん、ありがと~。じゃあ…また後でね?」

ジンもまた少なからず寂しいのだろう。チュンジェが見えなくなるまでずっとジンは見送り続けていた。そして小さく息をつき、名残惜しみながらも窓を閉めたジンはホンマンを見つめた。

「どこへ行くんだ?」

「あの人…お父さんのいた家に向かって」

「…わかった」

本心を言えば、あまり行きたくはなかった。しかし、ジンの命令に逆らう権限などありはしない。複雑な思いをすべて飲み込み、ホンマンはゆっくりと車を発進させた。

市街地を抜け、ハイウェイを突き抜ける。そしていつの間にか車窓にはのどかな風景が広がっていた。都心部でありながら農業が盛んなこの地域。なぜか、田舎に来ているような錯覚を覚えてしまう。

明るい時分にここへ立つのは初めてだった。生い茂る木々の間を抜けるとぽつんと一軒の家が見える。窓が割られたままだからか、やけに荒んで見える。人が住んでいないせいもあって、傷みも早いようだ。

「なにをするんだ?」

先を行くジンにホンマンはそう問いかけていた。その問いかけを背中で受け止め、俯いていた顔を上げる。そしてジンはどこか悲しげな瞳でその家を見上げた。

「なんか、残ってないかな~…って思って」

まるで独り言のようにそう呟き、いまにも壊れそうな笑顔で振り返る。そんな顔をされたのでは何も言えやしない。最初から何か提言する気などなかったが、ズルイと思ってしまう。

「形見っていうか…生きてた証っていうか…。なんでもイイんだ。もし、入りたくなかったら車で待ってて。オレ、ひとりで行ってくるから」

心を見透かしたような言葉。ホンマンはため息をこぼし、足を止めたジンの隣へと並んだ。

「ひとりで行かせるわけにはいかないだろうが…」

「ありがと~。ホンマンは優しいね?」

「…」

時々、全部計算なんじゃないかと思ってしまう。しかし、そんなことを勘ぐっても仕方がない。主の命令は絶対だ。その意思を守るために自分は存在しているのだから。

「危ないからオレが先に行く。勝手にふらふらするんじゃないぞ?」

「は~い」

右手を挙げて大きく返事をし、ジンは幼い笑顔を浮かべた。そしてふたりは砕けた扉から中へと進んでいく。様々な破片が埋め尽くす廊下を慎重に奥へと向かった。

母国を追われ、イタリアを脱出し、ここへとたどり着いたあの人。知りたいことは多いのに、なかなか調べる決心がつかない。もしかしたらまだ疑っているのかもしれない。

ふたりがたどり着いたのは監禁されていた場所から目と鼻の先にある部屋だった。

そこだけは少し、他の部屋とは違っていた。高価そうな調度品が並べられており、踏み荒らされてはいるものの通ってきた部屋に比べればまともな様相を残していた。

「…」

薄くほこりの被った革張りのイスを撫で、静かに腰を下ろす。そしてジンは震える指先で引き出しを開けた。

別に期待していたわけではない。特殊部隊が介入し、制圧した場所なのだから何も残されていないのは当たり前だった。しかも、事件的にもすべてなかったことになっている。

どの引き出しも本棚もすべて空っぽ。何ひとつ、あの人が存在していた証は残されていなかった。

「ここで、どういう生活してたのかな…?チュンジェと、どんなお話してたのかな…?」

「…」

「なにを思ってたのかな…?オレのこと、少しは考えててくれたかな…?」

その答えを持つ人物はすでにこの世にはいない。ホンマンは窓の外を見遣るその横顔をただ無言のまま見守り続けることしかできなかった。

どれくらいそうしていたのか。愛しげにイスをなでていた指先がゆっくりと離れていく。そして言葉なく、ジンは立ち上がった。

帰ろうと促すように歩き出すその背中を見つめ、ホンマンもまたゆっくりと足を進める。ふたりの足音だけが静かなその家にこだましていた。

帰りの車内もやはり沈黙が降りていた。笑顔はなく、どこか悲しげな瞳だけがぼんやりと窓の外へ向けられている。時折その姿をバックミラーで確認しながら、ホンマンはジンの帰りを待つふたりの元へと急いだ。

「彼に聞けば、何か出てくるんじゃないか?」

車を降り、待ち人の元へ向かう主の背中にそう声をかける。

「…?」

「特殊部隊の…なんという名前だか忘れたが、助けてくれた男だ」

「ヨンハのコト?」

おそらく同一人物だろうとホンマンは小さく頷いた。足を止めたジンへと歩み寄り、あどけないその顔を見下ろした。

「あの家にあったものは彼らが撤去しているはずだ。保管しているものもあるだろう」

「…」

「だから、そんな悲しい顔をするな」

沈んでいた表情にだんだんと明るさが蘇っていく。ようやく戻った笑顔で大きく頷き、ジンは幼い瞳でホンマンを見上げた。

「ホンマン、ありがと~」

「別に感謝の言葉などいらない。まだあると決まったわけじゃないだろう?」

「う~んと、そうじゃなくて…励ましてくれてありがと~」

言われなれないその言葉。誤魔化すように乱暴に頭を撫で、ホンマンは車へと戻っていった。照れたその背中を笑顔で見送り、くるりと踵を返す。そしてジンは小走りに建物の中へと消えていった。










続く。
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コメント

ありがとう♪

お体大事にしてね!
そんな中更新してくれてありがとう♪
申し訳ないけど、楽しみにしてるので~(笑)
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