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Close your Eyes ep.99-1



HP『Sweet Drops』用に書かれた作品になります。原文のまま転記したので長文になります、ご了承ください。












毎日が愛おしい。

君が君であるからこそ、僕はいまを愛しく思う…。


 
間もなくやってくるクリスマスに道行く人々もどこか楽しげだった。凍てつくような寒さも、いまだけは心の温かさに忘れられる。

「チュンジェ、どうした?」

呼びかける声に我を取り戻し、チュンジェは色とりどりのイルミネーションに奪われていた視線をヴァネスへと移動させた。

小さく首を振り、そっと微笑む。繋いでいた手を握りなおしたふたりはまたゆっくりと歩き出した。

「疲れたか?」

「ううん、大丈夫」

あまり家から出ることのないチュンジェ。たまには運動したほうがいだろうと、買い物へ連れ出した。特に買うものがあったわけではないので、まだ荷物はない。

「ねぇ、ヴァネス」

「ん?」

「クリスマス…」

その単語にヴァネスは少しだけ申し訳なさそうな表情でチュンジェを振り返った。

まさか恋人ができるとは思っていなかったせいで、せっかくのクリスマスも仕事を入れてしまっていた。しかも夜勤だ。いまさら変更もできやしない。

「兄さんのところへお泊りしてきてもいい?家でパーティやるんだって」

「あぁ、楽しんでこいよ」

ひとりで家にいるのは寂しすぎる。ジンの申し出に感謝しながらヴァネスはそっと安堵の息をついた。

「来年は一緒にすごそうな?」

「うん」

嬉しそうに頷き、素直にそう応じる。笑みを深め、ヴァネスはそっと髪を撫でた。気持ちよさそうに目を細め、甘えるように身を寄せる。

「そろそろ夕飯の買い出しして帰るか?」

微笑みのまま小さく頷き、促すようにヴァネスを見つめる。その表情は幼く、とても無防備だ。時折怖くなってしまう。疑うことをあまり知らない人だから、心無い人間に連れ去られてしまうのではないかと。

はぐれないようにと手をしっかり握り締め、ふたりは人波に流されないようにと歩き出した。

穏やかな休日が終わるとまたいつもの日常が戻ってくる。今日は初めてジンの仕事を手伝う日。準備を済ませ、迎えに来るまでの時間をテレビを見ながらぼんやりと過ごしていた。

「…?」

普段、テレビはつけているがまともに見たことはことはなかった。勉強の傍ら、なんとなく音を聞いているだけ。それは単にCMで、時間にすれば30秒足らず。しかし、チュンジェは思わず身を乗り出した。

「あ、れ…?」

瞬きも忘れてテレビ画面に注目する。しかし、何度確認してみてもいま画面に映っている人は見知った人物だった。一度は同じテーブルについたことさえある。

「…」

呆然とテレビを眺めていたチュンジェがリモコンへと手を伸ばし、チャンネルを次から次に変えていく。もう一度この目で確認したかった。

ふと、手を止める。そこにはまた先ほどとは違う映像が流れていた。やはり、どう見ても同一人物だ。

大きなステージでたくさんの人たちを前に歌い、踊る姿は自信に満ち溢れている。彼らの声と合わさって聞こえてくる人々の声も半端ではない。

続いてチュンジェは珍しくパソコンの前へと座り、インターネットへと接続した。恐る恐るその人の名前を入力してみれば、たくさんの結果が表示される。

その中のひとつのサイトを開いてみれば写真がいくつも浮かび上がってくる。その中のひとりはやはり彼だ。疑う余地もない。

「ど、どうしよう…」

混乱だけが押し寄せてくる。緊張からか、指先がわずかに震え始めていた。

もしかしたら口の利き方を間違ってしまったかもしれない。まさか、こんなに有名な人だとは思いもしなかった。しかも、その人気はこの国だけではない。

経歴などを読めば読むほど、知れば知るほど、その人気振りがわかる。とても気さくで仲のいいジンの友だち。どうやらそれだけでは済まないようだった。

部屋の中をうろうろとしていると、不意にインターホンが鳴り響く。頭が理解するよりも早く、チュンジェあ上着と鍵だけを手に部屋を駆け出していった。

「あれ~…?」

なかなか応答がない。約束を忘れてどこかへ出かけてしまったのだろうか。しかし、チュンジェがひとりで外出するとも思えない。

いぶかしむように眉根を寄せて首をかしげていると、自動ドアの向こうから脱兎の如く駆けてくる姿が見えた。驚いたようにきょとんとした顔で待っているとチュンジェは思い切りジンへと抱きついてきた。

「チュンジェ、おっはよ~。そんなに慌ててどうしたの~?寂しかった~?」

そうではないとかぶりを振り、チュンジェは少し涙ぐんだ瞳でジンを見上げた。

「て、テレビ見てたら、あ、あの人…」

「あの人~?」

誰のことだろうかと視線を宙に彷徨わせる。チュンジェと面識があってテレビに出そうな人を思い描く。

「ジェジュン君のコト~?」

震えるように小刻みな頷き。どうやら正解のようだ。ジンは幼い笑顔を浮かべ、とりあえずとチュンジェを助手席へと座らせた。

「ジェジュン君、芸能人なの~。オレ、専属カメラマン~」

「に、兄さん。僕、どうしよう…。この前、あんまりご挨拶もできなかったし…」

「大丈夫だよ~。チュンジェ、ちゃんとご挨拶してたよ~?」

とんでもないと激しく被りを振るう。ジンの知り合いに見つかってしまったことを後悔するあまり、まともに挨拶などできていない。

「じゃあ、もう1回挨拶すれば大丈夫~。ジェジュン君、すっごく優しいよ~?」

優しいのはジンと親しいからだ。あくまでも自分はジンの弟でしかない。初対面で粗相をしてしまっては、あまりいい印象をもたれていないのではないだろうか。そんな不安が胸に燻っていた。

一向に晴れない表情。どうしてそんなに気にするのだろうか。理由はわからないが、このまま放っておくこともできない。

悩んでいる間に目的地へとたどり着き、とりあえず時間がないとジンは仕事道具を肩にかけた。そしてチュンジェの手を引き、中へと進んでいく。

「チュンジェ、大丈夫~?」

あんまり大丈夫ではないと眼差しが告げる。どうしたらいいのだろうか…。ジェジュンがそんな些細なことを気にしているとは思えない。根拠はないが、その答えに自信はあった。ならばやはり逢うのが手っ取り早い。

ひとつの扉の前で足を止め、ジンは俯くチュンジェを振り返った。両手で頬を挟み、ゆっくりと上向かせる。笑ってと呼びかけるように笑顔を浮かべれば、わずかに強張った表情が和らいだ。

「ジン兄さん」

名を呼ばれて振り返ってみれば、閉ざされていた扉が開いていた。そしてその中から顔を出したジェジュンが優しく微笑んでいる。

「おはようございます」

「おっはよ~っ」

「チュンジェさんもおはようございます」

目を見開いたまま凍りついたチュンジェ。しかしそんなことは大したことではないと、微笑を浮かべたままジェジュンはチュンジェを見つめていた。

「お、おはようございます…」

「あのね、あのね、ジェジュン君」

「はい?」

首をかしげながらジンへと視線を戻し、事の経緯を聞く。ジンの言葉を聴き、ジェジュンは少しだけ笑みを深めた。

「前回はまともにご挨拶できなくて済みませんでした。僕はジェジュン。ジン兄さんとお付き合いさせてもらってます」

「こ、こちらこそゴメンなさい。緊張しちゃって…」

身体を折り曲げて頭を下げる。ふと、チュンジェの言葉が止まり、微妙な間が訪れた。どうしたのだろうかと首をかしげ、ジェジュンがチュンジェを見つめる。

ジェジュンの言葉に頬を赤らめていたジンもまたチュンジェの異変に気づき、首をかしげた。そして膝を屈め、その顔を覗き込む。

「チュンジェ~?どうしたの~?」

「お、付き合い…?」

呆然とした表情で、ぽつりとそう呟く。改めて言われると妙に恥ずかしくて、ジンはまたもや頬を赤らめた。俯きながらもコクリと頷けば、ジェジュンがそっと微笑む。そしてジンを立ち上がらせ、優しく抱き寄せた。

芸能人と付き合っているという事実に驚かざるををえなかった。しかし、その言葉で初対面のときのあの言動の意味がようやくわかった。確かに恋人が他の人間と歩いていたら怒りたくもなるだろう。

窺うようにゆっくりと顔を上げたチュンジェは仲睦まじいふたりを見つめ、思わず笑みをこぼした。ジンも幸せそうだし、ジェジュンは優しそうだ。これならばなんの不安もない。

「兄を…よろしくお願いします」

躊躇うことも泣く、すんなりとそんな言葉が口からこぼれていく。驚いたように目を見開き、ジェジュンは恥らいながらも微笑んだ。

「こちらこそよろしくお願いします」

ひとり取り残されたようにうろたえるジンを見遣り、さらに笑みが深まる。まんざらでもないのだろうか、恥ずかしさが先行してしまうようだ。

「まだ少し時間がありますから、中へどうぞ。メンバーを紹介しますね?」

「うん」

少し前までのわだかまりもすっかり氷解したようだ。強張った表情も穏やかになり、促されるまま中へと進んでいく。

「うわ~…ホントにそっくりだ~…」

話には聞いていたがここまでそっくりだとは思いもしなかった。チャンミンもゲームをやめ、並んで入ってきたジンとチュンジェを交互に見遣る。

「ジュンスのトコよりもそっくりだね…」

思わずユチョンがそう囁く。ジュンスにも双子の兄がおり、似ていると思っていたがそれ以上だ。はっきり言って見分けがつかない。

観察するように見られては落ち着かない。しかも相手が先ほどテレビで見ていた人たちだけに余計だ。知らず、ジンの背中へと隠れるようにチュンジェは一歩後ろへと下がった。

「どうぞ、座ってください」

「うん、ありがと~」

ジェジュンの言葉に応じ、ジンがチュンジェの手を引いてソファへと腰を下ろす。それでもまだ視線が突き刺さっていた。

「ほら、みんなもそんなジロジロ見ないで。チュンジェさんが困ってるでしょう?」

呆れたようにそう呟き、まじまじと見るメンバーに注意を促す。その言葉に我を取り戻し、乗り出していた身をひいた。

小さく息をつき、とりあえずと飲み物を差し出す。少し怯えた様子を見せながらもチュンジェは両手でそれを受け取った。

「あ、ありがとうございます、ジェジュン様」

「え…?」

そこにいた全員が思わずそう呟いていた。思わず口に含んでいたコーヒーを吐き出しそうになり、ジンは慌ててチュンジェを振り返った。

「チュ、チュンジェ!ジェジュン君でイイよ~っ」

「でも…すごい方たちだから…」

普通に呼ぶには憚られるような気がした。なんと呼んでいいか、悩んだ末の結論がそれだった。

「僕のことはチャンミン様でいいからね~」

冗談なのか本気なのか。まんざらでもない表情でそう告げればユノが振り上げたこぶしをその頭に下ろした。痛みに顔を顰め、涙ぐんだ瞳で訴えるようにユノを見上げてみるが、取り合ってはもらえないようだ。

「あ、あのチュンジェさん…。呼び方は、普通でいいので…というか、普通でお願いします…」

戸惑いながらもお願いされたのでは断るわけにもいかない、チュンジェは小さく頷き、隣に座るジンを見つめた。その表情からも安堵の色が読み取れる。

「ジェジュンさん、すみませんでした」

「気にしないでください。あんまり呼ばれなれていないから、少し驚いちゃったんです」

ジンの言うとおり、本当にやさしくていい人だ。失敗したと落ち込んでいた心がその言葉に払拭されていく。そっと微笑み、チュンジェはもらったコーヒーを口へと運んだ。










続く。
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