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Close your Eyes ep.100-2



HP『Sweet Drops』用に書かれた作品になります。原文のまま転記したので長文になります、ご了承ください。












ジンがまず先に向かったのはいつも自分のそばにいてくれる頼もしいひと。もしかしたら彼の家を訪れるのは初めてかもしれない。

少しドキドキしながらインターホンを押す。しばらくの間をおき、低い声での応答があった。

「ホンマン、オレだよ~」

『ジンっ!?』

予想外の来客。ただでさえここを訪問する人間は少ないというのに、さらにその中でもありえない人物だ。慌てて扉を開ければ確かに本人。幼い笑顔を浮かべ、おはようと挨拶を告げる。

「ど、どうしたんだ?なんかあったのか?」

「ううん、クリスマスプレゼント持ってきたの~」

「は?」

どうして雇い主が部下にプレゼントを持ってくるのだろうか。だいぶジンの突拍子もない行動に慣れたつもりだが、まだまだ理解できていないらしい。

「はい、プレゼント~」

提げていた紙袋。動揺しながらもそれを受け取る。小さな袋だが、予想以上に重い。何が入っているのだろうかと覗き込んだホンマンは思わず目を見開いた。

「ふふふ~」

「お前な…なんで、こんなモノ…。しかも、リボンまでつけて…」

どこから突っ込めばいいものか、さっぱりわからない。ジン的には驚いてくれたことに満足げだ。

「ヨンハさんに頼んでもらってきたの~。ホンマン、これ握りやすいって言ってたでしょ~?」

「…」

確かにそう言った記憶がある。だが、まさかそんな一言がこんなことになるとは思ってもいなかった。

一般には供給されていない、特殊部隊専用の拳銃。それに嵌められた、似つかわしくない可愛いリボン。これでは拳銃も可哀想だ。

「それだけ渡しにに来たの~。まったね~?」

「え?ちょ、おいっ!」

しかし、その声はジンの耳へ届くことはなかった。足取り軽く階段を駆け下りていくジンを見つめ、ホンマンは小さく息をついた。

「まったく…」

そう呟きながらもどこか嬉しそうだ。扉を閉め、取り出した中身を握り締めてみる。やはりこのグリップは手のひらに馴染む。

もうこの先、使うことなど早々ないだろう。しかし、持っていて不便なものではない。

部屋へと戻り、クローゼットを開け放つ。その中に設置された棚にはユンソンからもらった拳銃が安置されていた。その隣へともらったそれを並べ、ホンマンは静かに扉を閉めた。

「今度あったらお礼を言っておいたほうがよさそうだな…」

数回、顔を合わせた特殊部隊の若きリーダー。いつ逢えるかはわからないが、ホンマンはそう呟いた。

ホンマンの家を後にしたジンは次にヴァネスの家を訪れた。もちろん、渡したい相手はヴァネスではない。その同居人であり、弟だ。

「兄さん、いらっしゃい」

「チュンジェ~っ」

いきなりの抱擁に驚きながらも嬉しそうに微笑む。ふと、背中にがさごそと当たる物体。なんだろうか。一度気になってしまうと、そればかりに意識が向いてしまう。

「チュンジェにクリスマスプレゼント~」

「これ…」

それは見覚えのある紙袋。明日、仕事から帰ってきたらヴァネスに渡そうと隠したそれと同じ袋だった。

「これから必要でしょ~?」

「あ、ありがとう…」

まさか自分にまで用意してくれているとは思いもしなかった。貰い手のわからない最後の一着はどうやら自分宛だったようだ。

「これからみんなにプレゼント配りに行くの~。チュンジェも一緒に行こ~?」

「うん」

どうせ家にいても勉強以外にすることはない。ヴァネスは明日の昼まで帰ってこないし、どうしようかと悩んでいたところだった。

素早く身支度を整え、助手席へと乗り込む。そしてふたりを乗せた車は次なる目的地へと向かった。

「ここは誰の家?」

「カンタ兄貴~」

名前は何度か聞いたことがある。しかし、逢うのは初めてだ。後部座席からプレゼントを取り出したジンはチュンジェの手を引き、エントランスへと向かった。

『はい』

インターホンを押してみれば少し眠そうな声が聞こえてくる。起こしてしまっただろうかと首をかしげながらもジンは名前を名乗った。開いた自動ドアを通り抜け、久しぶりに訪れる家。

「いらっしゃい。どうしたの?約束は明日だったよね?」

「うん、今日はプレゼント届けに来たの~」

いつかのバレンタインを思い出し、わずかに苦笑する。しかし、今回は殴られなくても済みそうだ。奥の部屋で息を殺して隠れている姿を想像し、かすかに微笑む。

「に、兄さん」

「うん?」

ふと、隙間から見えた玄関。そこには明らかに女物の靴がひとつあった。目ざとく見つけたチュンジェが慌てたようにそれを指差した。

「あ…ゴ、ゴメンなの~っ。邪魔するつもりなかったんだけど…」

「それは、別にイイんだけど…え?」

ジンだけかと思ったらもうひとり。わずかに見えたその顔にカンタは目を見開いた。まるで狐につままれたかのようだ。カンタがチュンジェを見ているのに気づき、ジンは紹介がまだだったとチュンジェの手を引いた。

「弟のチュンジェなの~」

「お、とうと…」

それにしたってそっくりすぎだ。ジフンの言っていた驚くことというのはきっとこれだったのだろう。

「は、初めまして。弟のチュンジェです。兄がお世話になってます」

「いや、別に…そんな畏まらなくても…」

大体のひとは初対面のときに同じ感想を抱く。外見は一緒でも、中身はまったく違うと。例に漏れることなく、カンタもその中のひとりだった。

「じゃあ、また明日ね~?ソンミンもたまには誘ってあげて~」

これ以上邪魔をしては悪いと早々にチュンジェの手を引いて去っていく。いろいろと聞きたいことがあったのに、その暇さえなかった。

「いや…実はソンミンちゃん、ここにいるんだけどね…」

始終、ジンのペースだ。一応、答えてはみたもののその声は届いていないだろう。詳しいことは明日聞くしかなさそうだ。

小さく息をつき、手元に残されたプレゼントを見つめる。趣味のいいジンの贈り物だけに中身が気になる。リビングへと戻りながら包みを開けてみると、そこには高級ブランドのサングラスが丁寧に収められていた。

そういえばいつだったか、野外ロケが続いて目がおかしくなったという話をしたことがある。おそらくそれを覚えていてくれたのだろう。

「イイね~」

デザインも申し分ない。さすがジンのセレクトだ。次のロケから使おうと決め、カンタは丁寧にサングラスをケースへと戻した。

「カ、カンタさん…お兄ちゃん、帰った…?」

「もう大丈夫だよ」

別に隠れる必要はないのだが、なんとなく恥ずかしい。カンタの言葉に胸を撫で下ろし、ソンミンは作りかけの料理を完成させなければとキッチンへ戻っていく。

相変わらず、見た目が悪い。しかし、それにも慣れ始めていた。

「ソンミンちゃん」

「…?」

「朝ごはん食べ終わったらデートしようか?」

つい先日までは言えなかった言葉。しかしもう、迷いも躊躇いもない。ソンミンは嬉しそうに微笑み、小さく頷いた。

まるで新婚生活の予行練習だ。コーヒーを静かに飲みながら、カンタは未来を思い描くように目を伏せた。

再び車へと乗り込んだふたりはまた意気揚々と走り出す。みんな笑顔でプレゼントを受け取ってくれる。それが何よりも嬉しかった。

「兄さん、僕もプレゼント買いたい」

「プレゼント~?」

「うん。ダメ、かな…?」

手持ちのお金では大したものは買えないだろう。しかし、どうしても用意しておきたいひとがいた。窺うように問いかけるとジンは時計を見遣り、笑顔で頷いた。

「じゃあ、ついでにお昼でも食べよ~」

「うん」

ちょうどよくあった大型のショッピングモール。車を滑り込ませれば、平日だというのに大入りだ。入り口から少し離れたところへと車を止め、ふたりはいつものように手を取り合って歩き出す。

「どんなの買うの~?」

「えっと…帽子、とか…かな?」

「じゃあ、3階だね~」

遠目で案内板を確認し、エスカレーターへと乗り込む。そしてふたりは服飾雑貨の置いてあるエリアへとやってきた。

広いフロアに所狭しと並ぶたくさんのショップ。目移りしながらもチュンジェは1軒のショップの前で足を止めた。目に付いたそれを手に取り、値札を見つめる。

「…」

彼に良く似合いそうだ。しかし、財布事情的にはかなり厳しい。金額的に折り合いのつくものを眺めてみてもやはりこれが一番格好いいように思えた。

「チュンジェ?」

「あ、あの、兄さん…」

これが自分のためのものなら我慢もする。しかし、贈りたい相手は特別な人。しかも初めての贈り物だ。妥協はしたくなかった。

「お、お金…貸して…っ」

「うん、イイよ~」

勇気を振り絞って告げれば軽い返事。驚いたように顔を上げればそこにはいつもより少し大人びた微笑があった。

「あのね、チュンジェ。オレもよくお父さんに言われるんだけど、我慢はイケナイんだって。だからもっとワガママ言ってイイんだよ?」

滅多に何がしたいも、何が欲しいも、何が食べたいも言わないチュンジェ。一緒に出かけるといつだって任せると言う。優しいのはいいことだが、あまり自分の意見を持たないのもいけない。

「…」

「オレ、チュンジェのお兄ちゃんだもん。い~っぱい甘えてイイんだからね?」

「兄さん…」

じんわりと心が温かくなる。怯えるように強張っていた表情は次第に緩み、柔らかい微笑が浮かんだ。そして”ありがとう”とそう囁いた。









続く。
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