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Close your Eyes ep.100-3



HP『Sweet Drops』用に書かれた作品になります。原文のまま転記したので長文になります、ご了承ください。












無事プレゼントを購入し、少し早めの昼食。手に入れることができたプレゼントを時折見つめては嬉しそうに微笑んだ。

「もしかして、ユノ君へのプレゼント~?」

「えっ!?」

「当たりだ~」

どうしてわかったのだろうか。なぜか心臓がドクドクと激しく脈打ち、まるで発熱でもしたように顔は火照っていた。

「ユノ君、きっと喜ぶよ~」

「そ、うかな…?」

きっと喜んでくれるはずだ。ジンは笑顔で大きく頷いた。そう言ってくれるだけで力強い。やはりチュンジェにとってジンは一番の味方だ。

「早くゴハン食べて、ユノ君のトコへ行こうね~?」

「うん」

「あ、その前におっさんとおじぃちゃんのトコ行かないとだ~。もうちょっとだけ付き合ってね?」

順番を崩したのでは全部回れるものも回れなくなってしまう。早くチュンジェをユノの元へ連れて行ってあげたいが、こればかりは譲れない。

ジンの言葉に小さく頷き、冷えた身体を温めるようにスープを口へ運ぶ。トマト味のおいしいスープ。チュンジェは幸せそうに微笑んでいた。

食事を終えると提言どおりジンはユンソンの元へとやってきた。逢うのは退院した日以来だ。目つきの悪い人々の間をふたりは手を繋いで横切っていく。

「…誰だ?そいつは」

ノックもなしに扉を開けばソファの上から低い声が聞こえてきた。

「弟のチュンジェなの~」

「弟?お前、まだ兄弟がいやがったのか?」

次から次へとよく増えていくものだ。驚くのを通り越して、呆れてしまう。しかも今度の兄弟は一段とジンそっくりだ。まったく見分けがつかない。

「チュンジェ、ご挨拶して~。おっさんはオレを育ててくれた大切な人なんだ~」

「初めまして、弟のチュンジェです。兄ともども、よろしくお願いします」

「クソガキとは違って礼儀がなってるじゃねぇか。少しはお前も見習えよ」

丁寧な挨拶に低い笑い声。今まで見てきた人たちとはだいぶ違う。でも、不思議と嫌な気はしなかった。言葉遣いの悪さが誰かを髣髴とさせるせいだろう。

「オレはおっさんの背中見て育っただけだもんね~。きっと見本が悪かったんだよ~」

「なんだと?もう1回言ってみやがれ」

ケンカのようなじゃれあい。見ているとなぜか笑顔がこぼれる。

「んで、今日は何しに来やがったんだ?」

「プレゼント渡しに来たの~」

提げていた紙袋。それはアメリカで購入したスーツの最後の一着だった。しかもシャツはユンソンが好きそうなシルク仕立ての柄物だ。

「1着ダメにしちゃったでしょ~?だから、補充するの~」

数ヶ月前に二度と切れなくなってしまった服。ジンなりのお詫びなのだろう。くしゃっとどこかぎこちなく笑うその姿も誰かとそっくりだ。

「ありがたく貰っとくよ」

「ふふふ~。おっさん、照れてるの~」

「うるせぇっ」

わざとらしく飛び跳ね、チュンジェの背中へと身を隠す。背中越しに聞こえる楽しげな笑い声にチュンジェもまた声を立てて笑う。

ジンには”家族”がいっぱいだ。少し、羨ましく思える。いつか自分もジンのようにプレゼントを抱えて駆け回る日が来るだろうか。そんなことを考えながらチュンジェはジンとともに車へと戻った。

そして続いて祖父の家を訪れる。ユンソンはさほど驚かなかったが、祖父はふたりを交互に見つめながら目を白黒させていた。その様子に笑顔を浮かべながら用意してきたプレゼントを渡す。

風邪をひかないようにと願いをこめたひざ掛け。包みから取り出したそれを愛しげに撫で、祖父は自らの膝へとかけた。

「おばぁちゃんの分も長生きしてね?」

「あぁ、もちろんだ」

足元に擦り寄る犬のチュンジェにもプレゼントと真新しい首輪を贈る。プレゼントが余程気に入ったのか、くるくるとジンを中心に駆け回る姿に3人は笑顔を浮かべた。

本当ならばもう少し時間を取って一緒にいたい。しかし、今日ばかりは時間が許してくれなかった。夕飯を一緒にという誘いを申し訳なさそうに断り、ふたりは車へと戻った。

「次が最後だよ~」

「最後?プレゼント、あと3つあるけど…」

「1コはアンディのだから、お家帰ったら渡すの~。あとの2コは同じ場所なんだ~」

ひとつはジェジュンの元へいくプレゼントだとわかる。残りひとつが誰宛なのかわからない。きっとまだ面識のない人なのだろう。

「ユノ君へのプレゼント、忘れずに持ってくんだよ~?」

「うん」

先ほど購入したばかりのプレゼントは膝の上。少し恥ずかしいような気もする。でもどこか、楽しい気もする。窓の外を流れる景色を見つめながらチュンジェは期待に胸を膨らませていた。

最後の目的地はテレビ局だった。地下駐車場へと車を滑り込ませ、関係者しか通れない扉を潜る。カメラマンという仕事をしていなければ、ここを通ることもできなかっただろう。

「えっと…」

楽屋の使用状況へと視線を走らせる。そして目的の人の名前を確認し、ふたりは廊下を歩き出した。

今日は年末の恒例行事ともいえる番組の撮影日。その年に功績を挙げた人々を発表する晴れ舞台。そのため、今日ここにいる人々はどれもテレビでよく目にするひとばかりだ。

「エリック兄貴~っ」

「んぁ?」

扉を開けてみれば仮眠を取っていたエリックが不機嫌そうな返事をする。しかし、訪問者の顔を見るなりその不機嫌さは一気になくなった。

「ジン、何してんだ?」

「クリスマスプレゼント届けにきたの~っ」

ソファの上で寝ていたエリックへと飛びつき、甘えるように擦り寄る。逢えたことが余程嬉しいらしい。しかし、喜んでいるのはジンだけのようだ。眠そうな瞳がじっと入り口近くに佇むチュンジェへと注がれていた。

「お前、チュンジェか?」

「え?あ、はい」

「アンディの言ってた通り、ホントにそっくりだな…」

話には聞いていたが、ここまでそっくりだとは思ってもいなかった。黙って立っていたらどっちがどっちだかさっぱり区別がつかないだろう。

「エリック兄貴はアンディの恋人だよ~」

何度か顔を合わせたことがある、目の不自由な青年。なぜ自分を知っているのか、なぜアンディの名前が出てくるのか、疑問が消えれば驚く必要もない。

「初めまして。弟のチュンジェです」

「あぁ、初めましてだな。でも、なんつぅか…初めてってカンジがしねぇな」

「そうなの~?」

その感想は初めてだ。興味を覚えたように顔を上げ、ジンは小さく首をかしげた。

「ジンの皮被ったミヌってカンジだな」

「なにそれ~」

表現が気に入ったのか、腹を抱えながら声を立てて笑う。チュンジェもこれには思わずふき出した。いろいろな感想を聞いてきたが、初めての表現だ。

「で、今日は何しに来たんだ?ただ遊びに来たってワケじゃねぇんだろ?」

「うん。プレゼント~」

「プレゼント?またヴァレンタインのときと同じようなコトしてんのか?」

幼い笑顔でコクリを頷き、放り出してしまった紙袋を引き寄せる。そしてジンは取っ手をエリックの手にしっかりと握らせた。

「きっとエリック兄貴、似合うの~」

ファンからのプレゼントであれば開ける気にもならないが、ジンからとなれば話は別だ。上体を起こし、エリックは紙袋から中身を取り出した。現れたのはミリタリー風のコート。しかも保温性抜群だ。

「いいな…。これでロケのときでも安眠できそうだ」

「ふとんじゃないよ~っ!」

「冗談だよ。ありがとな」

本当に冗談なのだろうか。変なところ疑いたくなってしまう。むくれたように頬を膨らますジンに笑みを浮かべ、ぐしゃぐしゃと乱暴に頭を撫でる。

「明日、昼くらいには行くからちゃんと家にいろよ?」

「うん、待ってる~」

以前から24、25日と休みを希望していたが、この番組だけは外せないと社長に駄目出しを受けた。出番さえ終えれば帰ってもいいという妥協案を受け入れ、ここに至る。

この分なら夕方には仕事を終え、アンディを迎えにいけるだろう。そして夜はゆっくりとふたりで過ごし、明日はジンの家でパーティだ。久しぶりに友人たちと時間を気にせず飲むことができそうだ。

「エリック兄貴、明日はお泊りできる~?」

「あぁ、心配すんな」

答えに幼い笑顔を浮かべ、いまから楽しみだと落ち着かない様子で身体を揺らす。大好きな人たちが一同に集う、滅多にない機会だ。この分だと今日は眠れないかもしれない。

「どうせ明日はオールで飲むんだろ?今日は早めに帰って、たっぷり寝とけよ?」

「が、がんばる…」

まるで心を見透かしたような言葉。約束はできないが、努力はしてみよう。それすらも見越しているのか、エリックは楽しげに笑っていた。

「エリックさん、スタンバイお願いします!」

ノックが聞こえたかと思えば慌しく扉が開く。顔を覗かせたADがそれだけを告げまた慌しく去っていく。

「じゃあ、また明日な?」

「うん!エリック兄貴はお仕事がんばってきてね~」

「まぁ、ほどほどにな」

仕事を頑張るつもりなどほとんどない。頑張るべきは今夜だ。しかし、それは自分だけがわかっていればいいこと。適当に相槌を打ち、エリックは楽屋を後にした。

「エリックさん、楽しいひとだね?」

「うん。オレ、エリック兄貴好き~」

会話が微妙にかみ合っていないような気もするが、ふたりはそれで通じ合っているようだ。笑顔を交し合い、再び手を繋ぐ。

次が最後。彼らがいる部屋は目と鼻の先だ。

慌しくひとが行き交う廊下を邪魔にならないようにと進み、彼らの名前が貼られた扉の前で足を止めた。タイミングを合わせるように顔を見合わせる。そしてふたりは同時に扉をノックした。

応じる声が聞こえれば、笑顔が自然と浮かぶ。ゆっくりと扉を開き、ふたりは中を覗き込んだ。









続く。
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