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Close your Eyes ep.100-5



HP『Sweet Drops』用に書かれた作品になります。原文のまま転記したので長文になります、ご了承ください。












前々から約束していた通り、家族水入らずでの食事。格式の高いレストランだが個室ならばそんなに気取る必要もない。

ジーパンにジャケット。ネクタイはなしでおいしい料理に舌鼓を打つ。たっぷり時間をかけて食事をした後は、運動がてらに散歩へと繰り出した。

しかし、時期が時期だけにどこもカップルだらけ。もっとゆっくりしたいがやはり男しかいない集団では浮いてしまう。

もったいないとは思いながらも白く色づき始めた道を抜け、タクシーで自宅へと帰っていった。

明日はいっぱい遊ぼうという約束があるせいか、ウォンタクもおとなしくベットの中。残った4人はしばしリビングでお酒を飲み交わしていた。

「ずいぶん嬉しそうだな」

始終笑顔を浮かべているジンを茶化すようにドンワンが告げる。不機嫌というわけでも嫌味というわけでもない。最近はだいぶ心を広く持てるようになってきた。どこへ行っても帰ってくる。それがわかったからだろう。

「だって久しぶりに全員集合だよ~?朝から大忙しで、楽しいコトいっぱいだよ~?」

「あんまり羽目、外しすぎんなよ?」

「わかってるよ~っ!もう…最近、ドンワン兄貴オレのコト子ども扱いし過ぎだよっ」

心外だと言わんばかりにそっぽを向く。そういった行動が子どもなんだと思いながらも何も言わず、ドンワンは目を伏せてかすかに微笑んだ。

昔からは想像もできなかった光景。でも、いまはこれが当たり前なのだと抵抗なく受け入れられる。

「ジェジュン君たちも来るんだよね?」

「うん、来てくれるって~」

「ユノ様も?」

邪魔をしないようにと見守っていたチュンジェもこればかりは口を開かずにはいられない。堪えきれず問いかければ大きな頷きが返ってきた。

また明日も逢える。その事実が嬉しい。しかも明日はヴァネスもやってくる。大好きな人たちに囲まれて過ごす特別な日だ。

「チュンジェ君はユノ君が好きなの?」

「え?あ、うん…」

純粋なミヌの問いかけに頬を赤らめながらそう答える。その様子にドンワンは一瞬だけ眉をひそめ、ジンへと顔を近づけた。

「おい、ジン。チュンジェって…」

「なんか、ユノ君のコト大好きみた~い」

きっと命の恩人と思っているからだろう。厳しいがとても優しい青年だ。無理やりに引き離すつもりはない。それに、ユノの態度を見ていればわかる。恋愛感情がないのであれば安心もできる。

「ふぅん…」

別に自分が気にしても仕方のないことだ。曖昧にそう頷き、残っていた焼酎を飲み干す。そろそろ寝ないと明日に差し支えるだろう。全員揃うなら明け方近くまで飲み続けるのは必至だ。

片づけをはじめようと立ち上がったそのとき、不意にインターホンが鳴り響いた。時計を見れば深夜1時。訪問の予定はなかったはずだ。

「誰かな…?」

こんな時分での訪問はあまり歓迎できない。立ち上がりかけたミヌを手で制し、久しぶりに真顔となったジンがモニターへと近づいた。

小さな画面に映りこんだその人。一気に警戒心が消し飛ぶ。再び幼い笑顔になったジンは転がるように会談を駆け下りていった。

「なんだ…?」

不機嫌そうな顔でモニターを覗き込む。そしてすぐにそれは呆れ顔へと変わっていった。

「…ったく」

ため息混じりにそう呟き、ドンワンは中断してしまった片づけを再開させる。グラスをシンクへ置き、空いたビンを一箇所へとまとめた。

「オレは先に寝るぞ」

そう言いおき、スタスタと寝室へと足早に消えていった。いったいどうしたというのだろうか。残されたミヌとチュンジェが首をかしげる。そして、次の瞬間聞こえてきた声に答えを知ったふたりは苦笑を浮かべた。

「お父さんっ!」

「夜遅くにゴメンね?まだ起きてたのかな?」

「うん!」

どうしてここにいるのか、聞きたいことはあるがいまは逢えたことの喜びが先だ。ぎゅっと抱きつく、その香りを胸いっぱいに吸い込む。優しい香りに全身が満たされていくようだ。

とりあえず立ち話もどうかと思い、スンフンはジンを抱えたまま器用に扉を閉めた。そして靴を脱ぎ、階段を登っていく。様子を窺うようにこちらを見ていたふたりにそっと微笑んだ。

「こんばんわ。ミヌ君、チュンジェ」

「こんばんわ。今日は突然どうされたんですか?」

「学会でこっちに来ていたんだ。せっかくのクリスマスだから愛する息子たちの顔を見てから帰ろうと思ってね」

ジンの頬へとそっと口づけ、チュンジェの頭を優しくなでる。

「すぐに帰られちゃうんですか?」

「うん」

「帰っちゃうの…?」

その言葉に敏感なほど反応を示す。幸せそうな笑顔は鳴りを潜め、変わりに浮かぶ寂しげな瞳。逢えたばかりだというのに。そんな思いがひしひしと伝わってくる。

邪魔をしてはいけないと思ったのだろう。頭を下げ、気づかれぬように去っていくミヌを見送った。そしてジンへと視線を戻し、そっと微笑む。

「またすぐに逢えるからそんな顔しないで」

本当ならば、ここに立ち寄る余裕もないほどだ。それでもここに足を向けたのは顔だけでも見たいと思ったからだった。

「ジン、クリスマスプレゼントを持ってきたんだ。受け取ってくれるかな?」

「う…?」

まだ瞳は悲しげだが、興味は覚えたようだ。提げていた大きな袋をその瞳の前へと差し出す。背中へ回っていた手が離れ、誘われるように差し伸べられた。

「仕事柄、移動が多いでしょう?この前見たら、もうだいぶ痛んでいるみたいだったからこれにしたんだ。喜んでくれるといいんだけど」

スンフンに抱きついたまま中身を取り出してみる。すると中には大きなボストンバッグがひとつ。しかも頑丈な作りで、仕事用の機材を入れても大丈夫そうだ。

「お父さん、ありがと~っ。大事にするの~っ」

もらったばかりの大きなバッグ。中身は何もないというのにそれを肩にかけ、再びぎゅっとスンフンに抱きつく。短い時間だからこそ余計に甘えていたいのだろう。

あえて咎めず、スンフンはジンを抱えたままチュンジェへと歩み寄った。忘れてはいけない。彼もまた大事な息子だ。

「はい、チュンジェ」

「え…?」

「クリスマスプレゼントだよ。きっと、これから役に立つだろうから」

あまりチュンジェの好みはわからない。だからこそ実用的なものをと思って持ってきた。両手でしっかりと握ったことを確かめ、ゆっくりと手を離す。その重さに腕がわずかに沈んだが、落とさずには澄んだようだ。

「これ…」

「まだ少し先かもしれないけど…あって不便なことはないし、予習も必要だからね。シウォンとふたりで選んだんだ。いま出てる中では最新だし、わかりやすく書いてあったから」

わざわざ仕事帰りに待ち合わせをし、閉店時間ギリギリまで悩んで買った医学書。洋書だが、チュンジェに不便はない。元々アメリカで生活していた人間だ。

それに、翻訳されるにはまだ時間がかかる。この国ではまだ未発売の代物だった。

「あ、ありがとう…っ」

まさか自分にまでプレゼントが用意されているとは思いもしなかった。しかも父親と呼べるふたりからのプレゼントならば余計に、だ。

両腕で抱きしめるようにたくさんの医学書が詰まった紙袋を抱きしめる。そしてチュンジェはジンとそっくりの幼い笑顔を浮かべた。

「また、来月もおいで。シウォンも逢いたがっているから」

「うん」

ヴァネスと離れるのは寂しいが、そういわれてはチュンジェも逢いたくなってしまう。躊躇うことなく頷き、髪をなでる優しい感触に目を細めた。

きっと、いままでで一番短い逢瀬。それでも胸は幸せに満たされていた。わずか15分ほどのために来てくれたスンフンを見送り、ふたりは同じベットへともぐりこんだ。

明日もまた幸せな時間が待っている。微笑を交し合い、ふたりは示し合わせたようにゆっくりとまぶたを閉じた。

ベットに入った時間は遅かったが、目覚めはいつもよりもいい。揃ってシャワーを浴び、服をまとう。軽く朝食を食べていると窓の向こうからエンジン音が聞こえてきた。

真っ先に反応したジンが箸をくわえたまま窓へと駆け寄る。お行儀が悪いと怒るミヌの声すら届いていないようだ。

「カンタ兄貴、一番乗り~っ」

そう叫んだかと思えば今度は階段へと足を向ける。むずっとその足を掴めば、当然のように体は前のめりとなった。

「うわ、うわ、うわ~っ」

両手を回すことでなんとかバランスを取ろうとするが、そううまくはいかない。倒れる身体を間一髪、両腕で支えたジンは恨めしそうに足を掴むその人を見上げた。

「いまは食事中だ。それともお前は食い終わったのか?」

ぶるぶると激しく頭を振るい、申し訳なさそうに元の位置へと腰を下ろす。テーブルの上にはまだたくさんの料理。半分も食べ終わっていない。この状態で終わらせてしまっては昼まで持たないことは確実だ。

「で、でも、カンタ兄貴来たよ?お迎え行かないと…」

「なら箸はおいてけ。ウォンタクが真似したらどうすんだ?」

「…ゴメン、なさい…」

ドンワンの言うことは正論だ。言い返すこともできない。しゅんと肩を落としながら、言われたとおり箸をお皿へと立てかける。そしてジンはミヌに断りをいれ、玄関へと向かった。

「ったく…ガキじゃねぇんだから…」

ポツリとこぼした言葉がしっかり、ミヌとチュンジェの耳に届いていた。顔を見合わせ、くすっとかすかに微笑みあう。その様子にウォンタクだけは不思議そうな顔で3人を見上げていた。










続く。
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